「3・11忘れぬため」描き続けたハートを展示 17日まで 名古屋

2025/03/12 08:45 

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 東日本大震災から14年となる11日、名古屋市千種区のギャラリー安里で「茶畑和也『2025いろんなハート展』が始まった。名古屋在住のイラストレーター、茶畑和也さん(69)は大震災直後の11年3月28日からハートの絵を毎朝描き続け、SNS(ネット交流サービス)で発信していることで知られる。この日朝に制作した作品は5099個目で、個展会場にも早速展示された。17日まで。

 震災が起きた11年春、茶畑さんは妻亙美(ひろみ)さん(64)と、高校卒業間近の長女七月(なつき)さん(32)や中学生の次女咲月(さつき)さん(24)の子育てにも追われていた。「貧乏画家が被災地へ炊き出しに行ったり、義援金を送ったりするのは無理。自分が続けられる支援のかたちとしてハートの絵を毎日発信しようと決めた」

 毎朝6時半に起床、8時までにパソコンのフォトショップでイラストを制作しフェイスブックにアップするのが日課だ。亙美さんはX(ツイッター)を担当、茶畑さんが大腸がんなどで入院した際も毎日の発信をサポートしてきた。

 グラフィックデザイナーになった七月さんも、ハート作品が5000に達した24年12月4日から過去のアーカイブをインスタグラムで発信し、家族一丸となって活動を支える。

 茶畑さん夫婦はSNSを通じて福島第1原発の廃炉作業員ともつながり、12年と17年に福島県いわき市のカフェギャラリーでハート作品などの展覧会を開催。「老朽原発40年廃炉訴訟市民の会」の共同代表を務める。「福島の復興は14年たっても進まない。原発デブリは耳かき一杯ほどしか処理できない」と嘆く。

 ギャラリー安里を経営する門博子さん(76)は茶畑さんに「3・11を忘れないため毎年この日にハート展を開催して」と依頼。ハートが1446を数える15年3月11日、最初の個展「1446コのハート展」が始まった。それから毎年3月11日に開幕するハート展は、今年で11年目を迎えた。門さんは「茶畑さんは『10年続けたらやめようか』と弱音を吐いたこともあったが、ここまでよく続けてくれた」と感謝を忘れない。

 今回の個展ではこの一年に制作した作品のうち約45点を選んで6000円~1万6000円で展示販売する。開廊は午前11時~午後6時(17日は午後4時まで)。問い合わせはギャラリー安里(052・762・5800)。【山田泰生】

毎日新聞

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