「陸の玄関口」広島新駅ビルが24日開業 若者の流出歯止めなるか

2025/03/12 15:32 

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 JR広島駅南口に24日、商業施設やホテルが入る新たな駅ビルが開業する。地上20階、地下1階建て延べ約11万1000平方メートルで、夏ごろには広島電鉄の路面電車が2階に乗り入れる。JR西日本管内では大阪、京都駅に次ぐ3番目の規模で、中国地方の「陸の玄関口」としてにぎわいをつくり出すとともに、若年層の県外流出の歯止め効果としても期待される。

 新駅ビルの1階は駅前広場で、地下1階~地上9階には商業施設「minamoa(ミナモア)」が入る。西側の7階より上は総客室数が380室の「ホテルグランヴィア広島サウスゲート」。ミナモアには、9スクリーンを備えたシネマコンプレックス(複合映画館)の「MOVIX広島駅」もオープンする。

 ミナモアは店舗部分の面積が約2万5000平方メートルで、グルメやファッション、化粧品、生活雑貨、アウトドア用品など地域初出店を含む約220のテナントが並ぶ。5年前に閉館した旧駅ビル「アッセ(ASSE)」の約130店からスケールアップし、従業員の新規採用は3000人規模だ。街の規模の割に商業機能の弱さが指摘されてきた広島駅が大きく変わることになる。

 この10年で、広島駅周辺は大きな変容を遂げてきた。

 かつて木造建物が密集していた駅南口周辺は、3ブロックに分けた再開発が進み高層ビルが相次いで完成。「エキキタ」と呼ばれる北口(新幹線口)でも、オフィスビルやホテルが開業し様変わりした。その総仕上げが新駅ビルの開業だ。

 「玄関口」の動きと軌を一にするように、広島最大の商業・ビジネスエリア「紙屋町・八丁堀地区」でも再開発が進んでいる。旧市営基町駐車場一帯のエリアでは、広島商工会議所などが入る31階建て高層ビルが建設中だ。J1サンフレッチェ広島の本拠地・エディオンピースウイング広島や、広場や商業施設を備えた「ひろしまスタジアムパーク」が昨年相次いでオープンし、新たな人の流れが生まれている。

 夏ごろに、路面電車が新駅ビルの2階に乗り入れる新ルートが開通すると、駅から紙屋町エリアへの移動時間は現在の約15分から約4分短縮される。商業機能が増す駅周辺と繁華街とのアクセス、回遊性の向上は都市全体の発展の鍵となる。

 総務省の人口移動報告で、広島県は転出超過が4年連続全国最多で、中でも10~30代の流出は深刻だ。東京や大阪など大都市圏へ流れるのを防ぐ「ダム機能」を担う広島市への期待は高い。

 池田晃治・広島商工会議所会頭は1月の会見で、九州新幹線全線開業に伴う博多駅ビル整備と、九州一の繁華街・天神地区の再開発で人口増加傾向にある福岡を例に、「都市機能の核が紙屋町と駅周辺の二つできることで、いろんな人が引きつけられる。若者の広島離れという問題の対策としても大きな効果が期待される」と話した。【高田房二郎】

 ◇主な地域初出店店舗

シェイクシャック 米ニューヨーク発のハンバーガーレストラン

鼎泰豊 小籠包(しょうろんぽう)が有名な台湾点心料理店

月島もんじゃもへじ 東京・月島が本店のもんじゃ焼き専門店

ピエールマルコリーニ ベルギー王室御用達のチョコレート店。カフェ併設

SHIRO(シロ) コスメブランド

アクアリウムトールマン 観賞魚販売

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