本来は庶民の味…イカナゴ漁解禁、1キロ1万円超でも鮮魚店に列

2025/03/12 16:19 

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 イカナゴのシンコ(稚魚)漁が解禁された12日、兵庫県明石市の鮮魚店などでは、不漁を背景に値段はかつてないほどに高騰したものの「縁起物なので」と大勢の買い物客らが開店前から列をつくり買い求めていた。

 魚の棚(うおんたな)商店街にある鮮魚店「松庄」では午前6時の開店時、20人が並んだ。林崎漁港での初値が過去最高値となったことを反映してか、小売価格も1キロ1万1000円と前年の8000円から上昇。正午までに仕入れ分が完売した。

 名古屋市千種区から毎年このために来ている三木朝子さん(67)は12キロ分を購入。「1万円超えはビックリを通り越している。くぎ煮の匂いだけでもご飯が食べられそうと思ったけど、お米も高いのでどちらも食べられないかも」と苦笑いしていた。

 同じく商店街にある総菜店では、仕入れたシンコを店内で昔ながらの製法で煮付けたくぎ煮を100グラム3000円で提供した。大阪府寝屋川市、自営業、高橋政行さん(45)は「加古川に住んでいた親戚が昔、毎年実家のある愛媛に送ってくれていた。高かったが田舎の父親が喜ぶと思う」と述べた。

 ある店主は「本来は庶民の味。ここまで高騰すると売りたくないが、別の店にあるのにうちにはないというのも客を裏切る行為になる」と複雑な心境を吐露していた。【入江直樹】

毎日新聞

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