「喧伝目的の発言」 米報道官のコメ関税批判、日本側冷静受け止め
ホワイトハウスのレビット大統領報道官が「コメに700%の高関税を課している」と日本を名指しして批判したことを受け、林芳正官房長官は12日の記者会見で「米政府関係者の発言の逐一にコメントすることは差し控えるが、いずれにせよ米側と意思疎通を図っていく」と述べた。
ある農林水産省幹部は「トランプ米政権側の打ち出しは『各国の関税はこんなに高い』ということを喧伝(けんでん)するための手法にすぎない」と冷ややかに受け止める。ミニマムアクセス米の無関税枠についても「米国政府は当然知っているはずだ。政府間の真剣な交渉で、このような喧伝目的の発言が考慮されるべきだとは思わない」と切り捨てた。
米政権が今回、コメと並べて示した牛肉の関税率「39%」についても、米国からの輸入分には日米貿易協定に基づき現在22・5%が適用されている。こうした貿易協定や経済連携協定を結んでいない国には世界貿易機関(WTO)加盟国に課される最恵国税率38・5%が原則適用されるが、農水省幹部らは「単なる誤認では」「米国に対する税率は異なっていることを分かっているはずだが……」などといぶかる。乳製品に関しては品目によって関税率が異なるため「一番高い数字(40%)を出してきているだけ。考慮に値しない」との声が聞かれた。
米国が検討する「相互関税」では、貿易相手国が米国に課すのと同程度の税率が、別の品目に課される可能性も否定できない。政府関係者は「農産品なのか、他のものに課すのか全く予想できない。『コメの関税率が高い』という理由で自動車などに高関税を課すような事態は懸念される」と危機感を示した。【福富智、鈴木悟】
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