佐野市百条委、指定管理者要項変更「市長の指示」認定 偽証告発へ

2025/03/12 21:44 

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 栃木県佐野市運動公園施設の指定管理者選定を巡り、募集要項の公表後の変更など不自然な対応について調べた同市議会の「指定管理者制度の在り方調査特別委員会」(百条委、菅原達委員長、委員7人)は12日、変更を金子裕市長の指示と認定した調査結果を本会議に報告し、賛成多数で議決された。市議会は、指示を否定する証言をした金子市長を地方自治法違反(偽証)容疑で宇都宮地検に告発する決議を可決する一方、辞職勧告決議は議長決裁で否決した。

 百条委の調査項目は、2021年7月公表の募集要項に8月23日付で「PFI実績」の要件が追加された経緯▽選定委員会での選定過程▽受注企業体を構成した極東体育施設(宇都宮市、破産手続き中)と金子市長の関係性――の3点。

 報告によると、要項の変更を巡っては市長からの指示を証言した担当職員と否定する市長とで食い違っていたが、所管課が変更を不要と判断していたこと、市長が副市長に変更の可否を質問していたことなどから「市長の判断、指示があったと考えるのが自然」と認定した。

 また、選定経過を巡っては、欠格事由にあたる税の滞納状態だった同社を通した一次審査の不手際などを指摘。同社と金子市長の関係性については、市長が県議時代の17年12月から3年間、月額15万円の顧問料で同社の関連会社の顧問を務めた事実を挙げ、要項変更直前の8月18日の同社社長との市長室での面会については、要項が定めた「(利害関係者との)接触禁止に抵触する可能性が極めて高い」と指摘した。

 百条委は、「市長の権限により特定事業者が有利になるよう所管課職員に直接働きかけたことに問題があり、倫理上、ハラスメント上の改善が必要」と結論付け、公募開始後の要項変更の原則禁止▽税未納者の除外など応募資格の厳格化▽政治倫理・ハラスメント防止条例の制定――など10項目の改善策を挙げた。

 23年12月、同社の破産などを受け、地方自治法第109条に基づき特別委が設置された。9回の審査では疑義が残ったため、昨年12月6日、同100条に基づく調査権を付与することを決議し、計18回の調査で延べ51人に対する証人尋問などを続けてきた。

 ◇市長「指示の認識ない」と改めて否定

 佐野市の金子裕市長は同日、記者会見を開き、自らの証言が偽証とされたことについて「一貫して事実を述べてきたつもりで残念」と所感を述べた。百条委が「市長の指示」と認定した募集要項の変更については「指示したという認識はない」と改めて否定した。

 金子市長は冒頭、「告発という事態に至り、市民、議会に心配と迷惑をかけ、おわびする」と陳謝した。その上で、市長の指示があったとした百条委の認定について、「私と担当職員の間で誤解、誤認があり、認識にずれがあった」と釈明。「意思決定過程をより明確にし、ずれが生じないよう改善を図る」と述べた。

 また、調査の過程で、百条委とは別に執行部の機関として「第三者的調査委員会」の設置を示唆していたが、「現時点では白紙」とした。【太田穣】

毎日新聞

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