「常に批評的であれ」 故・渋谷陽一の遺志のもとロッキング・オンが“花火”に託す音楽のかたち

rockin’star Carnival

【写真】対談にて…笑顔で語っていた渋谷陽一氏
■25年間“ひたちなか”から受けた恩恵を守る「関係性を失いたくないという思いもありました」
「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」でかつて1日6万9000人の集客を記録した国営ひたち海浜公園を舞台に、DJ和が繰り出すJ-ROCK/J-POPの名曲と約20,000発の花火やレーザー演出を融合するという新感覚エンターテインメント「rockin’star Carnival」。企画立案のきっかけは、2000年から開催してきた「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の存在だった。
「参加者が主役のロックフェスを行いたい」というロッキング・オンの創設者である故・渋谷陽一氏の考えのもとスタートした「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」は、日本を代表するアーティストが集う日本最大の真夏の野外フェスとして、2019年までの20年間、国営ひたち海浜公園を会場に毎年8月上旬に開催。コロナ禍、2年間の中止を余儀なくされたが、「なんとか継続させたい」という思いから、2022年からは会場を千葉市蘇我スポーツ公園に移転して開催してきた。
そんな中、ひたち海浜公園とそれまで築き上げてきた関係性を継続するべく、25周年記念となる2024年には同公園でも同フェスを開催。その後も、周年記念には同公園で「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」を開催することを発表した。
しかし、「ひたち海浜公園のような6万人が収容できる大規模フェスは、運営的なノウハウはもちろん、地元との連携も非常に重要となるため、5年に1回の開催では担当者が変わることもありフェスを維持するのはなかなか難しい」とロッキング・オン・ジャパン代表取締役社長の海津亮氏。そこで思い立ったのが、周年以外の年に、同公園で“音楽×花火”のイベントを開催することだった。ここまでひたち海浜公園にこだわる理由について、海津氏はこう語る。
「『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』が今のブランド力を得られた理由は様々ありますが、一番大きいのは、ひたち海浜公園という魅力的なロケーションがあったからだと思っています。20周年の2019年には6万9000人を収容しましたが、それだけ動員できて、かつスムーズな運営が可能な施設は関東圏にはなかなかありません。それに加え、ひたちなか市役所や観光協会、商工会が非常に協力的で、皆さんとの関係性をしっかり作れたことも我々の大きな財産なので、それを失いたくないという思いがありました」(海津氏/以下同)
■前方で踊ったり、後方で座って花火の景色を見たり…「花火と掛け合わせで“新しい楽しみ方”を提供できる」
同イベントのテーマを“音楽×花火”にしたのは、海津氏の発案だが、そこには氏が 松任谷由実のデビュー50周年を記念した一夜限りの花火イベント『Yuming 50th Anniversary~真夏の夜の夢~』に携わった経験が活きていた。
「エンターテインメントとしての空間演出を考えたとき、空を含めると演出する空間は巨大になるし、立体的になります。それはエンターテインメントのプレゼンテーションとして大変新しいし、面白いと実感しました」
音楽については、今、花火のBGMに使われたり、花火とシンクロさせた“音楽花火”も増えているが、『rockin’star Carnival』では、DJ和がJ-ROCKやJ-POPの名曲で構成されたセットリストをプレイするという趣向を採用。昨年5月、千葉市蘇我スポーツ公園で開催された音楽フェス『JAPAN JAM』を見ていた時に閃いたアイデアだったと振り返る。
「大規模なイベントでは、終演後、混雑を避けるために規制退場が必要ですが、『JAPAN JAM』ではそれにエンタメ性を加え、DJ和さんに30分間アクトしてもらい、見たい人は残るという形をとってきました。すると、和さんを目当てにする観客が増えて、キラーコンテンツ化しまして。何より会場の雰囲気が本当にピースフルで、多幸感に溢れていったのを見て、これを花火と掛け合わせたら新しい楽しみ方を提供できるのではないかと考えました」
「新しい楽しみ方」には例えばこんなことがある。
「花火といえば、静止して夜空をじっと見つめるのが一般的ですが、DJ和のアクトでは、みんなが体を揺らして、踊っています。花火でもそれを楽しむスタイルが作れると思いました」
もちろん、中には音楽に耳を傾けながらも、じっとしたまま花火を鑑賞したい人もいるだろう。「それもひたち海浜公園なら可能」と海津氏。
「会場がとにかく広いので、体を揺らしながら楽しみたい人は前方に集まって、ゆっくり花火を観たい人は後方の席にいるという形がとれます。それぞれの好みのスタイルで自由に楽しめるというのもまた新しい花火大会になるのではないかと思っています」
音楽については、不要論も上がるなど、賛否がわかれるところだが、花火イベントの形態や価値観が多様化している今、開催時期にも変化がみられる。春や秋の開催が増え、花火大会が“夏の風物詩”ではなくなっていることはご存じのとおりだが、そんな中、本イベントの開催を10月に決めたのは、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』で培った経験からという。
「『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』は、酷暑対策とゲリラ豪雨などの気象環境の変化に対応するべく、今年、8月開催から9月のシルバーウィーク開催へと移行しました。花火は特に天候の影響に弱いですし、それに秋のほうが今の時代は快適な空間でパフォーマンスを楽しんでもらえます。花火大会は8月にやるものという概念は割と柔軟に崩れていっているのではないでしょうか」
■故・渋谷陽一氏が掲げた想い「アーティストの世界観や楽曲の魅力を独自の解釈で空に描く」
では、具体的に、ロッキング・オンならではの花火大会とはどんなものになるのだろう。その根底には、渋谷陽一氏が掲げ、創立以来、同社が守り続けている『ハイクオリティで、ナンバーワンで、既存のジャンルの中で批評的であるかどうか』というこだわりがあった。
「渋谷が常に申していたのは、『既存のジャンルの中で批評的であれ』ということでした。例えば誌面制作でも、我々はアーティストから楽曲の世界観を受け取り、それを独自の解釈でアウトプットしていく。たまに『違うよ!』と言われることもあるんですけどね(笑)、でもそれを失ったら我々がやる意味がなくなる。音楽花火でも、その価値観は体現できるものだと考えています。コンピュータ制御によって楽曲と花火が正確にシンクロできるようになり、その性質を最大限活かして、例えばこの音をきっかけにこの花火が上がってほしいとか、ここは裏の2と4で花火を上げてほしいと、それぞれの曲のイメージに合わせて、一番感覚的に、生理的に気持ちがいい演出をするようこだわっています。
さらに、今、音楽ライブでは、楽曲の世界観を彩るうえでいろいろなエフェクトを使った空間演出のバリエーションがテクノロジーの進化とともに増えています。フェスでアーティスト側が持ち込む演出も多様化・複雑化しております。だから花火でも出来る限り理想的な形で提示したいという想いがあります。ステージのムービングライトの色味から、レーザーなどなど、いろいろなものを駆使して、1曲ごとを演出したいと考えています」
1曲ごとにその楽曲の世界観にこだわるというのは音楽メディアを軸とする企業ならでの趣向だが、「そのうえで、全編を通して、盛り上がるパートもあれば、静かな感動を味わえるパートもあるなど、抑揚があって、ひとつの完結したストーリーになるような構成で見せたい」と海津氏。そこには“批評的であること”というロッキング・オンならではの価値観が活きており、「非常にオリジナルなものになるのではないかと思っている」と胸を張る。
「アーティストが作ったオリジナル楽曲の世界観を、日本を代表する花火演出家・花火師たちによる花火という視覚効果とシンクロさせて、ロッキング・オンならではの解釈でプレゼンテーションする。そこがこのイベントにおいて我々の伝えたいメッセージです。従来の花火大会とも音楽DJイベントとも違う、まったく新しいエンターテインメントの中で、新しい音楽体験をしていただけたらと考えています」
今後についても「魅力的な楽曲はまだまだたくさんあるので、花火との創造力の掛け合わせをしていくと無限大。テクノロジーの進化と共にどんどん演出も膨らませていけるような大きなイベントとして定着させられたら」と目を輝かせる海津氏。まずは、その第一歩となる経験したことのない音楽×花火体験を今秋、堪能するチャンスかもしれない。
(取材・文/河上いつ子)
-
NEWS小山慶一郎&井上裕介、ロケで急接近 2ショットに「なんでこんなにもクオリティが違うのだろう!」
お笑いコンビ・ノンスタイルの 井上裕介(45)が9日、自身のブログを更新し、NEWSの 小山慶一郎(41)とのロケ共演を報告。撮影オフショットとともに、親交が…
エンタメ 17分前 ORICON NEWS
-
『呑金/タングム』『女神降臨』キム・ミンギ、公式ファンコミュニティオープン「よく顔を出すので、たくさん遊びに来てほしい」
Netflixの話題韓国ドラマ『呑金/タングム』に出演する俳優キム・ミンギが、グローバルファンダムプラットフォーム「b.stage(ビーステージ)」を通じて公…
エンタメ 20分前 ORICON NEWS
-
”大河ドラマで共演”ロバート秋山&吉田羊、宇都宮で即興コント 『秋山ロケの地図』ゴールデン特番きょう放送【コメントあり】
お笑いトリオ・ロバートの秋山竜次がMCのテレ東系地図旅番組『秋山ロケの地図』がきょう10日午後8時50分から、ゴールデンの特別番組を放送する。ゲストに俳優の吉…
エンタメ 23分前 ORICON NEWS
-
『薫る花は凛と咲く』バカ売れ!2ヶ月で200万部増加 アニメも人気でファン納得「いい作品」「丁寧に作られてて嬉しい」
漫画『薫る花は凛と咲く』の累計発行部数が750万部を突破した。アニメが現在放送中で、この2ヶ月で約200万部も増える大ヒットとなり、ネット上ではファンより納得…
エンタメ 24分前 ORICON NEWS
-
『高校生クイズ』サイレン鳴り津波警報→会場急きょ変更「歌舞伎町のわけわからんところに…」 SixTONESが踊る展開
日本テレビ系の毎年恒例『全国高等学校クイズ選手権』が9日夜に放送され、「津波の影響で急遽予定していた会場で(クイズを)できなくなってしまいました」と伝えられる…
エンタメ 31分前 ORICON NEWS