公正取引委員会、芸能人の移籍・独立に指針 芸名・グループ名の使用制限についても指摘

2025/09/30 18:49 

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公正取引委員会、芸能人の移籍・独立に指針

 公正取引委員会は30日、「実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関する指針」を公表した。

【画像】公正取引委員会、芸能人の移籍・独立に指針

 サイトでは「アニメ・音楽・放送番組・映画・ゲーム・漫画といったコンテンツは、我が国の誇るべき財産であり、技術進展により、コンテンツの競争力の源泉は、クリエイター個人に移りつつあります。他方で、多くのコンテンツはクリエイター個人のみで生み出されるものではなく、クリエイターと関連する事業者との協働もコンテンツの創造やコンテンツの競争力の増大にとって引き続き重要であると考えられます」と指摘。

 続けて「これまで、コンテンツ産業活性化戦略(令和6年6月21日閣議決定「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」において策定・明記)に基づき、公正取引委員会では、音楽・放送番組等の実演家(アーティスト、俳優、タレント等)とその所属する芸能事務所との契約等について、「音楽・放送番組等の分野の実演家と芸能事務所との取引等に関する実態調査(クリエイター支援のための取引適正化に向けた実態調査)」を行い、令和6年12月に実態調査報告書を公表しました」とした。

 その上で「そして、コンテンツ産業活性化戦略において、実演家と芸能事務所との間の契約等を適正化する観点から指針の作成を図るとされたことも踏まえ、今般、上記実態調査報告書の内容を基に、実演家への適切な収益還元やコンテンツ産業関係者の健全な活動等を促進する取引関係等の推進の観点及び独占禁止法等に照らして具体的な考え方を示す「実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関する指針」を別紙1のとおり内閣官房及び公正取引委員会の連名で策定しましたので公表します」と伝えた。

■指針の一部内容
「芸能事務所が採るべき行動(移籍・独立の妨害について)」

【移籍・独立に係る金銭的給付の要求について】
・実演家が退所する際に金銭的給付の要求を行うことがある場合には、あらかじめ契約上規定しておくことが望ましい。

・特に、合理的な範囲で育成等費用の未回収分を回収し、かつ、合理的な範囲での収益を確保するため金銭的給付を要求する場合に、要求する金銭の額が高額となり得るときは、どのような場合に金銭的給付が求められるか等の考え方や算定方法等を契約上規定し、契約締結の段階(及び更新の段階)において、実演家に対して、その必要性も含め、十分に説明し、協議すること

・金銭的給付の要求は、合理的な範囲で育成等費用の未回収分を回収し、かつ、合理的な範囲での収益を確保するため、必要かつ相当と認められる範囲に限るものとすること

・退所する際に実際に金銭的給付の要求を行う場合は、実演家に対して、要求する金額の算定根拠を示すとともに、その必要性・相当性を十分に説明し、実演家と協議すること金銭的給付の要求を行う場合は、実演家の移籍又は独立後の収入を考慮しサンセット条項とすることや、移籍先の事務所との間で合理的な範囲で金銭的給付について協議することも検討すること

【移籍・独立を希望する実演家に対する妨害について】
・実演家が契約を満了するに当たって移籍・独立の申出を行った際は、円滑に移籍・独立できるよう、移籍後の活動に際して必要となる連絡先、留意事項等を移籍先の事務所に伝達するなど、適切に対応すること

・実演家の移籍・独立を妨害するような言動をしないこと

【移籍・独立した実演家に対する妨害について】
・移籍・独立した実演家が、移籍・独立後に円滑に活動できるよう、活動を妨害するような言動をしないこと

・移籍・独立した実演家について、例えば、放送事業者等に対して円満退所でなかったことやトラブルがあったことを伝えて、起用しないことを放送事業者等に忖度させたり、トラブルの可能性があると思わせたりすることにより、起用を見送らせるというようなことにならないよう言動に留意すること

【共同又は事業者団体による移籍制限等について】
・複数の芸能事務所が共同して、又は事業者団体において実演家の移籍を制限したり、移籍を希望する実演家との契約を拒絶したりせず、各芸能事務所の自主的な判断により実演家と契約すること

・移籍してくる実演家に一定期間フリーとして活動を行うことを求めず、実演家の自由な選択に委ねること

「指針の内容(芸能事務所が採るべき行動(実演家の権利・芸名について))

【成果物に係る各種権利等の利用許諾について】
・放送事業者等の取引先等から利用の申出があった場合には、各種権利等の利用を許諾しないことに合理的な理由がなければ、各種権利等の利用を許諾すること

・各種権利等の利用を許諾しない場合にはその理由について許諾を求めた者に十分説明すること

【芸名・グループ名の使用制限について】
・芸名又はグループ名(以下「芸名等」という。)に関する権利を芸能事務所に帰属させる場合には、あらかじめ契約上に明確に規定した上で、実演家に対して十分に説明し、実演家と協議すること

・合理的な理由が無い限り芸名等の使用の制限を行わず、制限する場合においてもその制限の方法は合理的な範囲の使用料の支払等の代替的な手段も含めて合理的なものとし、その理由について実演家に十分に説明し、実演家と協議すること
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