中国南部・広東省珠海市で１１月、６０代の男性が車を暴走させ３５人が死亡した事件で、珠海市中級人民法院（地裁）は２７日、危険な方法による公共安全危害罪に問われた運転手の男性に対して死刑判決を言い渡した。国営新華社通信が伝えた。中国各地で無差別殺傷事件が相次ぐ中、事件から１カ月半という異例の早さで極刑を言い渡すことで、社会の安定を脅かす行為に対して厳罰で臨む姿勢を示す狙いがあるとみられる。

　事件は、１１月１１日夜、珠海市内の体育施設で発生。男性の運転する車が体育施設の敷地内を暴走し、運動していた多くの市民が犠牲となった。判決では結婚生活が破綻した男性が、離婚時の財産分与に不満を抱くなどして犯行に及んだと指摘。「犯行の動機は極めて卑劣で結果は深刻。社会への危害は極めて大きい」と断罪した。

　この事件の発生を受け、習近平国家主席は「犯人を厳しく処罰する」などとする重要指示を出していた。

　中国では、１１月１９日にも湖南省常徳市の小学校前で男性が車を暴走させ児童らを負傷させる事件が発生したが、同市の中級人民法院は今月２３日、事件からわずか１カ月あまりで執行猶予付きの死刑判決を言い渡している。【北京・岡崎英遠】