米議会の新会期始まる 下院議長選出も、議席差小さく波乱含み

2025/01/04 09:43 

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 米連邦議会は3日、2年間の新会期が始まった。下院ではトランプ次期大統領が推す共和党のマイク・ジョンソン氏が議長に選出された。党内から造反する議員が出たため、当初は選出に必要な票数に届かなかったが、反対派を説得して翻意させた。ジョンソン氏は何とか面目を保ったが、民主党との議席差が小さいため、今後の議会運営は波乱含みだ。

 下院(定数435、欠員1)は2年ごとに全議席が改選され、会期当初に各議員が口頭で支持候補を表明する「点呼投票」によって議長を選ぶ。

 過半数の219議席を有する共和党はジョンソン氏を議長候補に決めていたが、当初の投票では前会期のジョンソン氏の議会運営に不満を抱く3人が造反した。その後、票の集計過程で2人が翻意し、ジョンソン氏は当選ラインの218票にぎりぎり届いた。民主党は215人全員が党下院トップのハキーム・ジェフリーズ院内総務に投票した。

 ジョンソン氏は選出後の演説で、トランプ氏の米国第一主義を意識し「我々は再び米国民の利益を最優先していく」と強調。国境管理の強化、天然ガスや原油の増産、減税などトランプ氏が重視する政策の実現に協力していくと述べた。トランプ氏は自身のソーシャルメディアへの投稿で「マイクは偉大な議長になり、米国に利益を与えるだろう」と祝意を表した。

 共和党には、議会運営で民主党との妥協を嫌ったり、予算縮減が不十分だと不満を抱いたりする強硬派がいる。次期政権が20日に発足し、高官に起用された下院議員2人が抜けると、民主党とは2議席差となり、党内を結束させられなければ法案審議が滞るリスクが常にある。ジョンソン氏は今後もトランプ氏や強硬派に配慮しながら、薄氷を踏むような議会運営を強いられることになる。

 一方、2年ごとに議席の約3分の1が改選される上院(定数100)は、共和党53議席、民主党(民主系無所属を含む)47議席となった。共和党は法案審議の主導権を握るが、上院では規則上、多くの議案の可決に60票が必要なため、民主党との一定の妥協は欠かせない。【ワシントン秋山信一】

毎日新聞

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