日本製鉄社長、アメリカ事業拡大「決して諦めず」 年頭あいさつで

2025/01/06 16:47 

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 日本製鉄の今井正社長は、バイデン米大統領がUSスチール買収計画に中止命令を出したことを受け、6日に公表した年頭あいさつで「米国事業の拡大を決して諦めず、法的権利を守ることも含め、あらゆる対策を追求する」と訴えた。日鉄は、中止命令は適正な手続きが取られておらず法令違反だとして米政府を提訴する方針で、7日にも記者会見して詳細を説明する。

 今井社長は年頭あいさつで「グローバル経済は経済安全保障という名の下で、自国優先の通商政策が拡大し、マーケットの分断はますます深刻化するだろう」と指摘。「世界の競合他社に打ち勝っていくには、(米国市場など)当社が考える重要な戦略地域を中心とした海外事業の拡大が不可欠」と改めて強調した。

 バイデン氏は3日発表した声明で「国家安全保障上の懸念がある」と説明し、買収中止命令を出した。両社に30日以内に買収計画を完全かつ恒久的に破棄するよう求めた。

 日鉄は2023年12月にUSスチールの買収を発表したが、直後に全米鉄鋼労働組合(USW)が反対を表明。その後の大統領選で、トランプ次期大統領が買収阻止を訴え、バイデン氏も実現に難色を示すなど政治問題化した。

 買収計画は対米外国投資委員会(CFIUS)が国家安全保障上の問題がないかを調査していたが、委員の間で見解が割れたため、バイデン氏に判断を一任していた。

 買収が実現すれば粗鋼生産量で世界3位の日米連合が誕生する予定だったが、中止命令により、日鉄は戦略の練り直しを迫られている。【道永竜命】

毎日新聞

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