「詐欺では」予備校ニチガク、冬季講習中の倒産 生徒らに動揺
東京都新宿区の大学受験予備校「ニチガク」が教室を閉鎖し、運営する日本学力振興会(新宿区、西山剛社長)が自己破産の準備に入ったことが判明した。生徒数の減少と過大な設備投資によって2024年末に資金繰りが行き詰まったとみられる。大学入学共通テストを控えた本格的な受験シーズンの直前で、生徒には動揺が広がっている。
◇取り乱し泣き出す生徒も
ニチガクのホームページによると、西新宿を拠点に40年以上の指導実績がある。23年度の大学受験者数は165人だった。
ニチガクは4日朝、教室の出入り口に代理人弁護士名の文書を掲示し「債務の支払いに窮する状態」と説明。生徒や保護者には私物を回収するよう求め「多大なご迷惑をおかけいたします」と謝罪した。
生徒らによると、年末年始に実施されていた冬季講習は4日以降全て中止された。訪れた生徒が突然の閉鎖を知って取り乱し、泣き出すこともあったという。
「入塾した23年秋と比べて授業数が半分ほどに減っており、経営が厳しいと感じることはあった。(突然の閉鎖は)嫌だ」。高校3年の男子生徒は6日午前、私物を取りに来た帰りに取材に応じ、困惑をあらわにした。
冬季講習代と合わせ、支払った授業料は150万円ほどになるが、返金されるかは判明していない。受験までは自力で勉強するといい、足早に立ち去った。
動揺は受験生以外にも広がっている。通い始めて1カ月ほどだという高2男子生徒(17)は「塾長はつぶれることを知らずに(入塾を)勧めてきたのか。知っていたら詐欺なのでは」と不信感を募らせた。1年後の受験を見据え、約250万円を一括で支払い済み。「通塾用の定期券も買ってしまった。次の塾探しには『つぶれないところ』という条件も加わる」と肩を落とした。
東京商工リサーチによると負債総額は約1億円。ニチガク側の代理人弁護士は毎日新聞の取材に対し「年末に資金繰りに行き詰まった。(要因は)生徒数の減少に加え、無理な設備投資もあった」と述べた。今後1週間程度で東京地裁に破産を申し立てるという。
◇講師も憤り「計画倒産では」
講師の間にも憤りが広がった。ニチガクで世界史担当の講師を務めていた森川晶雄さん(34)は4日、冬季講習のため出勤した際に社員から倒産したと告げられた。「給料は2カ月分が未払いとなっているのに、社長や塾長などしかるべき立場の人からの謝罪や説明は一切ない」と語気を強めた。
2年ほど前には二つの教室をつなげる工事をしていたというが、森川さんは「少子化が進む中で大教室を作ることには合理性がないと感じていた」と振り返る。冬季講習が始まった後で教室を閉鎖したことから「講習代金を集め終えたタイミングでの計画倒産だと感じる。強引な勧誘によるトラブルもあったと聞いており、生徒の減少には経営陣や営業の責任もあるのではないか」と指摘した。
生徒に対しては「受験直前であり、ぎりぎりのメンタルで頑張ってきた子もいる。冬季講習の最中に突然倒産するというのはあまりにひどい」とおもんぱかり、経営陣が生徒や保護者に事情を説明すべきだと訴えた。【斎藤文太郎、西本紗保美】
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