尹氏の逮捕状執行、6日期限 韓国捜査当局、効力延長申請も選択肢

2025/01/05 20:06 

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 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領=職務停止=による「非常戒厳」を巡る、尹氏に対する逮捕状の執行期限が6日に迫っている。3日の逮捕状執行を阻止した大統領警護庁の要員らが尹氏の周囲を固めており、現状では逮捕が困難な情勢が続く。大統領公邸の周辺では連日、尹氏の支持者や逮捕を求める市民らが集会を開き、騒然とした状況となった。

 「尹錫悦、逮捕!」。尹氏の即時逮捕を求める市民らは5日午後、尹氏が生活するソウル市内の公邸近くで大規模集会を開いた。労働組合などが中心となって3日連続で抗議活動を展開。5日は雪が降る中、「尹を刑務所へ送れ!」などと訴えた。

 一方、約500メートル離れた場所では、尹氏の支持者らが集結。保守系のキリスト教団体の牧師らが「弾劾は無効だ!」などと訴えた。参加者らは「不正選挙」と記したプラカードを手に「尹錫悦大統領、万歳!」などと叫んだ。尹氏や支持者らは野党が大勝した2024年4月の総選挙に不正があったと主張している。

 高官犯罪捜査庁(高捜庁)は尹氏を「内乱の首謀者」とみて内乱などの容疑で捜査し、裁判所から逮捕状が発付された。検事や警察官ら約100人は3日、尹氏を逮捕するため公邸の敷地内に入った。だが警護庁が大統領警護法などの規定を理由に家宅捜索や逮捕を拒否。高捜庁側はこの日の逮捕を断念した。

 聯合ニュースによると、高捜庁は、6日までの再度の逮捕状執行や、裁判所に対する逮捕状の効力延長の申請など、あらゆる選択肢を検討中という。大統領代行の崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政相に対しては3日と4日の2度にわたり、警護庁に逮捕状執行への協力を命じるよう要請した。

 ただ、警護庁は抵抗する方針を変えていない。朴鍾俊(パク・ジョンジュン)庁長は5日に発表した声明で、今後も大統領の安全確保に全力を尽くすと表明した。

 一方、ソウル西部地方裁判所は5日、逮捕状の執行の不許可を求めた尹氏側の異議申し立てを棄却した。だが尹氏の弁護団は強硬な姿勢を崩していない。弁護団は5日、3日に逮捕状の執行を試みた高捜庁や警察の幹部や捜査員らを特殊建造物侵入容疑などで検察に告発すると表明した。

 憲法裁判所での尹氏に対する弾劾裁判では、3月中にも罷免の是非を判断する決定が出るとの見方がある。尹氏の弁護団は5日、尹氏が自ら2月4日までに憲法裁判所での弁論に出席し、意見を述べるとの見通しを示した。【ソウル福岡静哉】

毎日新聞

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