トランプ氏、刑執行免除で「魔女狩りは失敗」 不倫口止め裁判

2025/01/11 12:33 

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 トランプ次期米大統領は10日、不倫関係を主張する女性に支払った口止め料を巡る親族企業の業務記録改ざん事件の判決で、有罪ながらも刑の執行を免除された。判決後には「魔女狩りは失敗した。免訴に値するものだと証明された」と述べ、実質的な無罪だと強弁した。

 「私の評判を落とし、大統領選で負けるようにするための魔女狩りだったが、うまくいかなかった」。トランプ氏は10日の公判にオンラインで出席し、最後にこう訴えた。判決直後の声明でも「そもそも事件は存在しなかった。真の陪審は米国民であり、大統領選で私に圧倒的な負託を与えた」と強調。大統領選での勝利で「民意により無罪を得た」という趣旨の主張を展開した。

 共和党のジョンソン連邦下院議長も10日の声明で「政治的動機に基づく事件だ。判事と錯乱した州検察当局が司法制度に大きな損害を与えた」と判決を批判し、トランプ氏の上訴を支持する考えを示した。

 ただ、刑の執行免除でも「大統領経験者として初の有罪判決」という汚点は変わらない。他の犯罪を隠すための業務記録改ざんは1年以上の禁錮刑になる可能性がある「重罪」に位置づけられるため、米紙ニューヨーク・タイムズは「未来の大統領は収監は免れるが、重罪者となった」と報じた。

 ただトランプ氏への政治的な悪影響はほとんどなさそうだ。2024年5月に陪審による有罪評決を受けた後、11月の大統領選で「有権者の審判」を受けており、今後支持率が低下することは考えにくい。

 一方、民主党やリベラル派が懸念しているのは、司法判断に不満を抱くトランプ氏が「報復」に乗り出すことだ。自身を捜査する検事や、自身に不利な判断を示した判事らを名指しで批判しており、「権力の乱用」という名目で刑事捜査や規律違反の調査を始める可能性がある。

 トランプ氏は「政敵への報復」について、表向きは「報復は(国家運営の)成功を通じてなされる」と述べている。しかし、自身が指名した司法長官や連邦捜査局(FBI)長官が、過去の捜査を巡る「違法性の有無」を検証することは否定していない。【ワシントン秋山信一】

毎日新聞

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