トランプ氏に刑罰科さず 異例の判断 有罪のまま大統領就任へ

2025/01/11 10:36 

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 米国のトランプ次期大統領が不倫相手への口止め料を不正に処理したとされる事件で、ニューヨーク州の裁判所は10日、陪審による有罪評決を維持した上で、トランプ氏に刑罰を科さない判決を言い渡した。就任を控えた大統領の職務への影響に配慮しつつ、市民が下した評決と法の支配を守る異例の判断を示した。

 トランプ氏は「魔女狩り」だとして控訴する方針。米国で初めて、刑事事件で有罪判決を受けたまま20日に大統領に就任する見通しとなった。州法違反の事件のため、トランプ氏は大統領就任後も自身に恩赦を与えることはできない。

 南部フロリダ州の私邸からオンラインで出廷したトランプ氏は、最終意見陳述で「何も悪いことはしていない」として無実を訴えた。

 マーチャン判事は、大統領に対する法的な保護は「犯罪の深刻さを軽減したり、犯行を正当化したりするものではない」と強調。一方、「この国の最高職を侵害することなく、有罪を認める唯一の合法的な判断だ」として、無条件で刑執行を免除すると言い渡した。

 この裁判でトランプ氏は、2016年の大統領選で不利にならないよう、当時の顧問弁護士を通じて不倫相手の元ポルノ女優に口止め料を支払い、それを隠すために業務記録に虚偽の内容を記載したなどとして罪に問われた。陪審員は昨年5月、起訴された34件の罪状すべてについて全員一致で有罪とする評決を下した。

 量刑の言い渡しは当初、昨年7月に予定されていたが、トランプ氏側が大統領の「免責特権」などを理由に評決の無効や裁判の中止を繰り返し申し立てたため、延期されてきた。

 トランプ氏は大統領就任前の量刑言い渡しを回避する試みとして、連邦最高裁にも差し止めを申し立てたが退けられていた。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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