トランプ氏のガザ「所有」案に政権高官ら「移住は一時的」 修正図る

2025/02/06 10:18 

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 トランプ米大統領が示したパレスチナ自治区ガザ地区を米国が所有して再建を進める案について、政権高官らが5日、相次いで軌道修正を図った。パレスチナ人を近隣国に恒久的に再定住させ、長期的な所有を目指すとのトランプ氏の方針について、高官らは「一時的に移住させるものだ」と釈明。米軍の派遣や米政府の資金投入についても否定的な考えを示した。

 ルビオ国務長官は5日、中米グアテマラでの記者会見で「トランプ氏が発表したのは、米国がその地域の復興に責任を持つという申し出であり、その意思だ」と説明。ガザの人々はがれきや不発弾などを除去している間は「そこに住むことができなくなる」とし、「人々は(地域を)再建している間、暫定的にどこかで暮らさなければならない」と話し、一時的な移住だと強調した。 

 ホワイトハウスのレビット大統領報道官も記者会見で「地域のパートナー、特にエジプトとヨルダンがパレスチナ難民を一時的に受け入れることを期待している」と語った。他の質問に対する答えの中でも、「一時的な移転」と繰り返した。

 トランプ氏は4日のイスラエルのネタニヤフ首相との共同記者会見で、ガザ問題について「何カ月もかけて非常に詳しく研究し、あらゆる角度から見てきた」として、米国が所有するという案を表明した。破壊された建物や、不発弾などを全て撤去し、雇用と住宅を供給する開発をするなどと説明した。

 前提となるのは、約220万人に上るパレスチナ人住民らの移住だ。トランプ氏は、移住先について「多数の場所でもいいし、一つの大きな場所でもいい」とし、必要な費用は近隣の豊かな国が負担すればよいなどと述べた。しかし、強制移住は国際法違反となる可能性が高く、ガザの住民や中東のイスラム諸国、さらに国際社会に反発が広がっている。

 トランプ氏は4日の会見で、ガザ所有のための米軍派遣の可能性を問われ「必要であれば、そうするつもりだ」と語った。これについてもレビット氏は「大統領はガザに地上軍を派遣するとは約束していない。再建費用を米国が負担するつもりはないとも述べている」と説明。地域のパートナー国などと協力してガザの再建を進める考えを強調した。【ワシントン西田進一郎】

毎日新聞

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