米貿易赤字、過去最大185兆円 旺盛な個人消費、関税警戒も背景

2025/02/06 10:37 

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 米商務省は5日、2024年の貿易収支を発表した。モノの収支は輸入が輸出を上回る「貿易赤字」が続き、赤字額は前年比14・0%増の1兆2117億ドル(約185兆円)と過去最大だった。トランプ大統領は米国の貿易赤字の解消を訴えており、制裁関税の発動など強硬姿勢を強める可能性がある。

 米国の24年のモノの輸出は前年比1・9%増の2兆838億ドル、輸入は6・0%増の3兆2956億ドルだった。輸出の伸びが限定的だった一方、旺盛な個人消費を背景に輸入が急増。トランプ氏が大統領選に勝利した24年11月以降、関税引き上げを警戒した米企業が輸入を増やした影響もあったとみられる。

 国・地域別では、赤字額が最大だったのは中国で前年比6・0%増の2954億ドル。トランプ1次政権時代に発動した制裁関税で輸入が減り、18年のピーク時に比べれば赤字額は減少傾向にあるものの、それでも国・地域別ではいまだ群を抜いて大きい状況だ。

 2位はメキシコで前年比6・5%増の1718億ドル。3位はベトナムだった。両国には中国企業が制裁関税を免れようと生産拠点を移しており、対米輸出が増加する要因となった。日本は7位だった。

 トランプ氏は4日に違法薬物対策などを理由に中国に対する制裁関税を発動し、メキシコ、カナダとも関税発動を巡り協議を続けている。欧州連合(EU)に対しても、名指しで貿易赤字を批判している。トランプ政権は商務省に対し、4月1日までに貿易赤字の現状を調査するよう指示しており、赤字が多い国には貿易不均衡の是正を強く迫る構えだ。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

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