トランプ米大統領は５日、出生時の性別は男性だが、女性だと自認するトランスジェンダーが女性の学生スポーツ競技に参加するのを禁止する大統領令に署名した。多様性を尊重すべきだとの意見がある一方で、体格や筋力の差を問題視する声もあり、トランプ氏は署名式典で「今回の大統領令で、女性スポーツを巡る戦争は終わった」と述べた。

　大統領令は、教育における性差別を禁止した法律の解釈を変更した。学校は従来、性自認に応じてスポーツチームへの加入を認めるよう求められていたが、大統領令は男性として出生した生徒が女性のスポーツチームに入ることを禁止した。

　さらに国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）を含む競技スポーツ団体に対して、トランスジェンダーの女性競技への参加を認めない方針を策定するよう促す。米メディアによると、米国内で開かれる女性スポーツ大会への参加を希望するトランスジェンダーに対して、ビザ（査証）を発給しない方針だという。

　トランプ政権はＤＥＩ（多様性、公平性、包摂性）の推進施策を批判し、性の多様性に関しても「性別は男性と女性だけだ」（トランプ氏）などと主張している。【ワシントン秋山信一】