トランプ氏、1セント硬貨は「無駄」 1枚4円の赤字、鋳造停止指示

2025/02/11 07:51 

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 トランプ米大統領は9日、自身のソーシャルメディアへの投稿で、1セント硬貨の鋳造で「2セントを上回るコストがかかっている。無駄遣いだ」と指摘し、ベッセント財務長官に鋳造停止を指示したと明らかにした。連邦議会の承認を経ずに硬貨の鋳造を停止できるかどうかは法的に不透明だが、キャッシュレス決済の普及や物価変動の影響で少額硬貨の使用頻度は減っており、「無駄遣い」との指摘は合理的でもある。

 トランプ氏は投稿で「1セント硬貨の鋳造は、大きな無駄遣いだ。偉大な国家の予算から無駄をなくしていこう」と述べた。実業家のイーロン・マスク氏が率いる政府機関「政府効率化省」も、「無駄」の一例として1セント硬貨鋳造を挙げていた。

 米造幣局によると、2024年会計年度(23年10月~24年9月)に1セント硬貨は計31億7200万枚が鋳造されたが、コストが額面を上回り、1枚当たり2・69セント(約4円)の「赤字」が出ていた。1セント硬貨鋳造による年間の「赤字」は約8530万ドル(約130億円)に上る。

 ただ、50セント、25セント、10セントの鋳造はいずれも「黒字」で、1セントと5セントの鋳造で出た「赤字」をカバーしており、造幣局は全体で計約9950万ドル(約151億円)の通貨発行益を出している。

 米紙ニューヨーク・タイムズによると、カナダやオーストラリア、ニュージーランドでは、それぞれの通貨の「1セント」の鋳造は終了している。日本の造幣局によると、円貨の製造原価は「国民の貨幣に対する信認を維持する」「貨幣の偽造を助長する恐れがある」といった理由で非公表となっている。【ワシントン秋山信一】

毎日新聞

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