EU、報復措置の可能性示唆 トランプ氏の鉄鋼・アルミ関税巡り
トランプ米大統領は10日、全ての国から輸入される鉄鋼とアルミニウムに25%の関税を課すと発表した。1次政権時代の2018年に発動した鉄鋼関税(25%)の適用除外を全廃し、アルミ関税(10%)を25%に引き上げる。ホワイトハウスで関連書類に署名した。3月12日に発動する。
米国の24年の鉄鋼輸入はカナダ、ブラジル、メキシコの順に多く、日本は6位。アルミに関してはカナダからの輸入が圧倒的に多い。トランプ氏は「一切の除外を認めない」としており、各国の鉄鋼業界が打撃を受けそうだ。
トランプ氏は1次政権時代の18年3月、原則として全ての国を対象に鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を発動した。ただ、輸出制限した韓国やブラジルなどに適用されないなど多くの「抜け穴」があった。米国と新たな貿易協定を結んだメキシコ、カナダもいったん発動された後に適用外となっている。
日本や欧州連合(EU)にも発動されたが、バイデン前政権下で無税の輸入枠が設けられた。日本は年間125万トンで、現在関税ゼロで鉄鋼を輸出できていたが、今回こうした特例が廃止される。日本最大手の日本製鉄も影響を避けられず、米大手USスチールの買収などで関税のかからない現地生産を目指す考えだ。
トランプ氏は10日、記者団に鉄鋼とアルミへの関税について、「誰もが理解できるよう単純化する。例外なく25%だ」と強調。「米国の産業を再び偉大なものにする」と意義を訴えた。
トランプ氏は2月1日、メキシコ、カナダに25%、中国に10%の関税を課す大統領令に署名。メキシコ、カナダへの発動は1カ月延期したが、中国には予定通り発動し報復関税を受けた。第2弾となる今回の関税も多くの国の報復措置を招く可能性があり、「貿易戦争で世界経済を混乱させかねない」(証券アナリスト)との懸念が出ている。
トランプ氏は更に、米国に関税を課す相手国に同率の関税をかける「相互関税」計画を2日以内に発表すると説明。半導体や自動車、医薬品などの分野でも関税引き上げを検討していると明らかにした。
ただ、米国は24年に鉄鋼の国内需要の約2割、アルミの約8割を輸入に頼っている。関税引き上げで安価な海外産を締め出せば、新車販売価格などが上昇する可能性がある。物価上昇(インフレ)の抑制を優先課題に掲げるトランプ政権にとっては痛手だ。
トランプ氏は10日、米国が「貿易黒字」の国に対しては事情を「考慮する」と表明。米国産の航空機などを大量購入している豪州への発動を見送る可能性を示唆した。カナダのシャンパーニュ・イノベーション・科学・産業相は声明で「自国の労働者と産業を守るために立ち上がる」と述べ、対応を関係国とも協議する意向を示したが、報復措置については直接の言及を避けた。
一方、EUのフォンデアライエン欧州委員長は11日、「EUが不当な関税を放置することはなく、断固として相応の対抗措置を発動するだろう」との声明を出し、報復関税などで応酬する可能性を示した。発動日まで1カ月残るなか、適用除外に向けた交渉の余地があるのかどうか注目される。【ワシントン大久保渉、ニューヨーク八田浩輔、ブリュッセル岡大介】
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