米国が欧州企業にもDEI廃止を要求 「内政干渉だ」と仏は反発

2025/04/01 06:07 

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 米政府が一部のフランス企業に対し、米連邦政府と契約する場合には、たとえ国外企業であっても米大統領令に従い、DEI(多様性、公平性、包摂性)の推進をやめるよう求める文書を送っていたことが明らかになった。仏政府は「内政干渉だ」と強く反発している。同様の文書は他の欧州各国の企業にも送られており、通商問題やウクライナ情勢を巡る対立が続く中、欧米関係に新たな摩擦が生じる恐れがある。

 仏紙レゼコーなどによると、フランスやベルギーなどの米大使館から、フランス、イタリア、スペインの企業などに質問票が送られた。「DEIを推進する施策は一切行っていない」という項目にチェックを入れ、署名のうえ5日以内に返送するよう求めるものだった。応じない場合、各企業に詳しい説明を求め、その内容を法務当局に転送するとしている。

 質問票を受け取った企業名は明らかになっていないが、英紙フィナンシャル・タイムス(FT)は、航空や防衛、コンサル業界などが影響を受ける可能性があると指摘している。

 AP通信によると、サンマルタン仏貿易担当相は3月31日、要求は性別や人種による差別を禁じ、多様性を促すフランスや欧州連合(EU)の政策を放棄することにつながると指摘。「我々は(取り組みに)誇りを持っており、米国に妥協するつもりはない」と語った。【ブリュッセル岡大介】

毎日新聞

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