クーデターで医師不足 支援を要請した軍の思惑は ミャンマー地震
ミャンマー中部で3月28日に起きた大地震は、2021年に国軍がクーデターを起こして内戦状態にある地域を直撃した。都市部では、国軍の弾圧から逃れたために医師や看護師が不足している。地震後も内戦による空爆があるなど、救援活動の難しさが浮き彫りになっている。
◇「助ける人も、機材もない」
震源に近い第2の都市マンダレーでは、高層の建物が倒壊し、がれきの山が積み上がる。多くの住民が倒壊した建物に取り残されたままで、至るところで泣きながら立ち尽くす人がいる。重機などの機材は不足し、救助活動は難航。避難所となった幼稚園に身を寄せる40代のミャンマー人女性は「多くの建物がつぶれたまま。助ける人も機材もない」と途方に暮れている。
マンダレー出身で静岡県在住のスーさん(28)は、親族の自宅が倒壊したという。「(親族は)車中で過ごしている。路上生活の人も多い」と語る。別の在日ミャンマー人によると、内戦の戦火から逃れてマンダレーで避難生活を送っている最中に、被災した人も少なくないという。
ミャンマーは4月に暑期を迎え、マンダレーの日中の気温は40度近い。脱水症状や感染症の懸念がある上に、例年、蚊が大量発生する時期でもある。スーさんは「水と食料、蚊帳がすぐに必要だ」と訴える。雨期に入る5月下旬には、路上での生活は難しくなる。
◇空爆続ける国軍
一方、独立系メディアは、国軍が地震後も空爆を続けたと報じた。被災地に近い地域も含め、地震発生日からの4日間で空爆やドローンによる攻撃が相次ぎ、死者も出たという。
マンダレー出身で千葉県在住のチョチョモーさん(37)は「軍政は情報統制を敷き、都合の良い情報しか流さない。多くの国民は独立系メディアを信頼している」と話す。ヤンゴン在住の50代男性は「空爆は国内全域に及んでいる。軍は地震を機に少数民族の武装勢力を攻撃し、土地を奪い返そうとしている。考えられない行動だ」と憤る。
上智大の根本敬名誉教授(ミャンマー近現代史)によると、国軍が現在統治するのはマンダレーなど都市部を中心に全土の4割ほど、人口でみると約6割にあたる。国軍は国際支援を要請したが、根本さんは「軍政下の都市部に支援を限定し、(敵対する)民主派勢力の強い地域への支援を妨害する恐れがある」と指摘する。
◇「偏らない支援」を
支援が急がれる背景には、国内の深刻な医師不足がある。クーデター以降、軍政に反発した医師や看護師は、職場に行くことを拒否する「不服従運動」を展開。国軍の収入につながる公立病院には出勤せず自宅で診療したが、国軍はこうした医師らを弾圧。多くの医療スタッフが退避した。
長引く内戦で医薬品も不足している。現地で医療技術を指導してきた整形外科医の笠井裕一さんは「医師や看護師が不足し、支援の方法が難しい」と嘆く。根本さんは「収監されたり退避したりした医師らの安全を保障して活動を認めれば、医療支援は進むが、現時点でそうした動きは見られない」と語る。
国軍は今回、過去の災害に比べて異例のスピードで国際支援を要請した。根本さんは「国軍の支配地域だけでも復旧させ、国軍統治下で12月に予定されている選挙を確実に実施したい思惑があるのでは」とみる。支援が偏らないようにするためには、民主派が樹立した「国民統一政府(NUG)」と各国が連携し「(国軍だけでなく)複数のルートを活用すべきだ」と訴える。
認定NPO法人「難民を助ける会」(東京)によると、現地では人道上の支援活動であっても、特定の勢力の一員であるかのように受け取られると、危害を受ける恐れがあるという。現地での支援を計画している職員の野際紗綾子さん(48)は「活動の目的を分かりやすく発信しなければ」と語る。【遠藤浩二、竹内麻子、米江貴史、最上和喜】
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