ミャンマー地震の死者2886人に タイの倒壊ビル、安全基準満たさず

2025/04/02 19:43 

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 ミャンマー中部を震源とする3月28日の大地震で、ミャンマーの軍事政権は2日までに2886人の死亡を確認した。一方、隣国タイの首都バンコクで建設中の高層ビルが崩落した原因についてタイ政府が究明を進めている。使われていた鉄筋の一部が国の基準を満たしていなかったことが判明し、事業を請け負った建設会社の責任を問う声が上がっている。

 震源から約1000キロ離れたバンコクでも強い揺れが起きたが、倒壊したのはこの1棟だけ。ペートンタン首相は「建設や設計が承認された経緯を調べる必要がある」と述べ、専門家による調査委員会を設置。工業省は現場から収集した鉄筋の一部が安全基準を下回っていたと発表した。タイメディアが報じた。詳細な調査を継続するという。

 現場では2日時点で、少なくとも15人の死亡が確認され、いまだ作業員ら約70人の行方が分かっていない。ビルは政府の監査委員会のオフィスとなる予定で、タイ建設大手の「イタリアンタイ・デベロップメント」と中国国営建設会社「中鉄十局」のジョイントベンチャーが手掛け、2020年に建設が始まった。

 タイでは07年以降の建物には耐震基準が適用されているとされる。耐震構造に詳しいマヒドン大のパーノン・ラーチャロード助教は「崩壊前の映像では構造工事は終わっているように見える。この程度の揺れに耐えられないのは異常で、設計や施工、資材などについて調べて原因を追究すべきだ」と述べた。

 地元当局によると、今回の地震ではバンコク市内で建物の壁がはがれ落ちたといった被害に関する報告が1万4000件を超えている。チェンマイ大のプッダラク・チャラットパングン助教(土木工学)は「バンコクは軟弱な地盤で揺れが増幅された。タイでは大地震は数十年から100年に1回起きるかどうかという頻度で、一般の建物に日本のような免震構造を導入するのは費用対効果に疑問がある」と指摘する。

 一方、ミャンマーでは2日も倒壊した建物からの救助作業が続いている。国外からの救助チームも活動を本格化しているが、国軍と民主派や少数民族武装勢力との内戦が足かせとなる懸念が強まっている。

 国軍の広報官は2日、北東部シャン州ナウンチョで前日午後9時半ごろ、中国の救援隊の車列に対し、国軍の兵士が威嚇のために空に向けて発砲する事案があったとラジオで明らかにした。検問に近づいた車列が停止しなかったためだと説明している。シャン州では軍と武装勢力が武力衝突してきた経緯がある。未曽有の災害を前に国軍内の指揮も乱れている模様だ。【バンコク武内彩】

毎日新聞

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