トランプ関税、当面は維持可能に 米控訴裁が「差し止め命令」を停止

2025/05/30 09:52 

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 米連邦控訴裁判所は29日、国際貿易裁が出したトランプ政権の関税差し止め命令を一時停止する判断を下した。トランプ政権は日本など各国に発動している「相互関税」や、カナダ、メキシコ、中国に発動している制裁関税を当面、維持できることになる。

 国際貿易裁は28日、トランプ政権が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき発動した相互関税や制裁関税について「大統領権限を逸脱している」と違法との判決を下し、関税の差し止め命令を出した。

 トランプ政権は判決を不服として即日上訴し、控訴裁に対し、この差し止め命令の効力を停止するよう要求。控訴裁は29日、政権側の申し立ての審議に時間を要するとして、差し止め命令を一時的に停止すると説明した。

 トランプ大統領は29日、国際貿易裁の判決について自らの交流サイト(SNS)で「間違っており政治的だ」と反発し、上級審で「このおぞましく国を脅かす決定を速やかに覆すよう願っている」と投稿した。

 ホワイトハウスのレビット大統領報道官も「選挙で選ばれたわけでもない裁判官が大統領の意思決定に関与するというのは厄介で危険な傾向だ」と批判。「大統領には他の法的権限もある」と述べ、IEEPA以外を根拠とする関税発動の可能性にも言及した。「大統領の貿易政策は継続される」とし、トランプ政権の高関税措置を巡る各国との交渉を従来通り続ける考えも示した。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

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