イスラエル、イランの国営放送爆撃 ニュース番組で爆発の瞬間流れる

2025/06/17 00:54 

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 イスラエル軍は16日、イランの首都テヘランで国営イラン放送(IRIB)の本部を攻撃した。IRIBでは当時、ニュース番組を生放送中だったが、スタジオで爆発が起きる場面がそのまま流れ、その後、放送が途絶えたという。

 当時の映像によると、爆発が起きたのは、スタジオで女性キャスターがカメラに向かって話している最中だった。爆音とともに突然、背景が暗くなり、煙が部屋に充満した。女性はそのまま画面の外へ逃げた。「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫ぶスタッフらしき男性の声も響いた。

 イランメディアによると、IRIBの建物は大部分が炎に包まれ、大きな黒煙が上がった。死傷者の有無など被害の詳細は分かっていない。一方、スタジオから逃げた女性はその後、無事が確認されたという。攻撃を受け、イランが「イスラエル領土に史上最大のミサイル攻撃を準備している」とも報じられている。

 イスラエルメディアによると、イスラエル軍は攻撃に先立ち、IRIB周辺から退去するよう呼びかけていた。また、カッツ国防相は「イランのプロパガンダの代弁者は消えゆく途上にある」と述べていた。

 イスラエル軍は13日からイランの軍事施設などへの攻撃を続けているが、標的はエネルギー関連施設などの民間施設にも広がっている。国営メディアを標的にしたのは、イラン政府の情報発信能力を弱体化させる狙いがあったとみられる。だが、軍事施設以外を攻撃したことで、国際的な非難が高まるのは必至だ。

 イスラエルは2023年10月に始まったパレスチナ自治区ガザ地区の戦闘でも、報道関係者に対する攻撃を繰り返していると非難されている。米国の非営利組織「ジャーナリスト保護委員会」(CPJ)によると、24年は世界で少なくとも124人の報道関係者が殺害されたが、このうち約7割はイスラエルによる攻撃で死亡した。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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