コメの作況指数廃止 「平年並み」では誤解生じるとの声も

2025/06/16 21:26 

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 小泉進次郎農相は16日、コメ(水稲)の出来具合を示す農林水産省の作況指数を廃止すると発表した。作況指数は10アール当たりの収量について、過去30年の傾向である平年の収量と比較して算出している指数だが、近年は温暖化などの気候変動や農業技術の進歩で実態と合わなくなっていると説明した。前年や直近の収量と比較される誤解が生じる問題も起きていたとした。

 農水省によると、作況指数は1956年から現在の集計方法で公表。10アール当たりの作柄を数字で表し、数値が100を上回るほど豊作、下回るほど不作としてきた。数字に合わせ、「平年並み」「やや良」などの表現を加えてきた。

 今後、作柄予測については前年との比較で示すことを検討する。例年、作況指数とともに公表している予想収穫量調査は継続したうえで、収穫と同時に収量を把握できるコンバインのデータを活用していく。

 農水省は2024年産米の全国の作況指数を「101(平年並み)」と公表し、これまで生産量は十分と説明をしてきた。

 ただ、生産や流通の現場からは「コメの生産量が十分ではないのに、農水省が発表した作況指数が良いため、現場の実態とかけ離れている」との声が一部から出ていた。コメの需給が乱れ、価格高騰につながったとの指摘もあった。

 小泉氏は16日、記者団に作況指数の廃止について「近年は冷害が発生することが少なく、作況指数の算出に使っている過去30年のトレンドを踏まえた収量との比較では、生産現場の実態に合わなくなってきた」と話した。【中津川甫、渡辺暢】

毎日新聞

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