G7サミット イラン批判の共同声明 イスラエルには「自国守る権利」

2025/06/17 20:26 

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 カナダ西部カナナスキスで16日(日本時間17日未明)、主要7カ国首脳会議(G7サミット)の討議が2日間の日程で始まった。サミットの直前に激化したイスラエルとイランの衝突をめぐり、イランを「地域の不安定及び恐怖の主要な要因」だと批判する共同声明を発表した。一方、トランプ米大統領は予定を変更し、初日の日程を終えると帰国の途に就いた。中東情勢への対応にあたるためとしている。

 共同声明は、米国の意向を強く反映して「イスラエルは、自国を守る権利を有する」と確認。イスラエルの安全に対するG7首脳の支持を強調した。また、イランの核兵器保有に反対の立場を一貫してとってきたとし、イランの核施設に対する先制攻撃への批判は盛り込まれなかった。

 トランプ氏は各国首脳との記念撮影の際に記者団から帰国理由を問われ、「非常に重要なことがある。できるだけ早く戻らなければならない」と述べた。議長国カナダのカーニー首相は「完全に理解している」と応じた。

 カーニー氏はこの日、最初の議題となった世界経済の見通しについての会議冒頭で、世界は「歴史の転換点」にG7の協調を求めていると呼びかけた。欧州メディアによると、会議では複数の首脳からトランプ氏に対して高関税措置を早期に終えるよう要求する声が上がったという。日本政府関係者によると、石破茂首相も自由貿易の維持・強化を訴えた。対露圧力をめぐる姿勢でも米国と他のメンバーとの溝は埋まらなかったとみられる。

 トランプ氏は第1次政権の2018年のG7サミットでも、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記との会談のため閉会前に退席したことがある。

 第2次トランプ政権発足から初の開催となった今回のG7サミットは、50年の節目にあたる。関税で他国の経済に打撃を与え、多国間協調に背を向ける米国をいかにつなぎとめ、一体感を示せるかが最大の焦点だった。このため、対立点が浮き彫りとなる首脳宣言のとりまとめを見送り、トランプ氏の関心の高い重要鉱物の供給網や人工知能(AI)など個別のテーマに特化した成果文書の合意を目指していた。トランプ氏の途中離脱で、これらの文書の扱いは宙に浮いている。【バンフ(カナダ西部)八田浩輔、古川宗】

毎日新聞

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