タイとカンボジア、停戦発効 合意違反巡り食い違いも、現在は維持

2025/07/29 20:20 

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 国境地帯で軍事衝突を続けてきたタイとカンボジアの停戦が29日、発効した。両国軍の司令官も同日に協議を行い、緊張緩和に向けた動きが進んでいる。ただ、タイ軍は停戦発効後も複数の交戦があったとし「カンボジアが停戦合意に違反した」と非難。カンボジア側は反論し、主張の食い違いが続いている。

 停戦は現地時間29日午前0時に発効。しかし、タイ軍は「カンボジアが複数の地点で停戦協定に違反した。自衛のための報復措置を取った」と主張し、同日朝に予定されていた軍司令官同士の協議を一時延期した。タイ外務省によると、プムタム首相代行はマレーシアのアンワル首相と協議を行い、合意違反について報告した。米中両国にも書簡で伝えたという。

 一方、カンボジア国防省は「停戦発効後、衝突は発生していない」とする声明を発表。両国の主張には依然として隔たりがあり、このまま事態が収束へ向かうかが焦点となっている。

 タイ軍は29日午後、国境沿いの3地域に配備された両国軍の司令官同士がそれぞれ協議し、即時の戦闘停止や部隊の展開・移動を控えることなどで合意したと発表。現時点では、停戦は維持されているという。

 両国軍の衝突は24日朝に発生。東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国のマレーシアなどが仲介し、プムタム氏とカンボジアのフン・マネット首相は28日、停戦で合意した。双方の死者は民間人を含め約40人に上り、約30万人が避難を余儀なくされた。

 トランプ米大統領は28日、「この戦争を終わらせることで多くの命が救われた」と停戦合意を歓迎。自身のソーシャルメディアへの投稿で、両国との貿易交渉を再開するよう米国の交渉団に指示したことも明らかにした。【バンコク国本愛、ワシントン西田進一郎】

毎日新聞

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