ドイツ政府は１１日、欧米とウクライナの首脳によるオンライン会合を１３日に開くと発表した。ロシアが侵攻を続けるウクライナでの停戦交渉を巡り、トランプ米大統領に対し、１５日のプーチン露大統領との会談でウクライナの頭越しにロシアに有利な条件で合意することがないよう要請するとみられる。

　米政治メディア「ポリティコ」によると、１３日の会合はメルツ独首相が主催し、３段階から成る。まず独仏英や欧州連合（ＥＵ）、北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）などの首脳とウクライナのゼレンスキー大統領で協議した後、それらのメンバーにトランプ氏とバンス米副大統領を加えて話し合う。最後に、ウクライナを支援するための英仏主導の有志国連合の会合を開くという。

　ロシアの停戦案は、ウクライナ東部州の割譲などが条件とされる。ゼレンスキー氏は「公正」な停戦を要求しており、欧州各国と共に、米露首脳会談により不利な停戦条件をのまされることを警戒している。

　ウクライナと欧州の高官は９日のバンス氏らとの会合で、ロシアの停戦案を拒否し、停戦した上で双方の軍が一部地域から撤退することなどを柱とした対案を米側に提示したと報じられている。１３日の会合では、この対案を軸に、トランプ氏にロシア寄りの交渉を進めないよう念押ししたい考えとみられる。

　ゼレンスキー氏は１１日、ビデオ演説などでロシアについて、情報機関や軍からの報告を基に「新たな攻勢作戦の準備を示唆するように部隊や戦力を再配置している」と指摘。停戦の準備をしていないとして、圧力強化の必要性を訴えた。

　一方、ＥＵ加盟国の外相らは１１日、オンライン会合を開き、ウクライナ情勢を協議した。

　ＥＵのカラス外務・安全保障政策上級代表はＸ（ツイッター）で、会合では外相らが停戦に向けた米国の動きへの支持を表明したことを明らかにする一方で、「ロシアへの追加制裁やウクライナへのさらなる軍事支援」などに取り組むとも述べた。【ロンドン福永方人】