イスラエル軍、ガザ市の40%を制圧 数日内に軍事作戦を拡大へ

2025/09/05 07:18 

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 パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとの戦闘を巡り、イスラエル軍のデフリン報道官は4日、北部ガザ市の40%を制圧したと発表した。イスラエル軍は市内全域を制圧する計画を進めており、今後数日間で作戦をさらに拡大させるという。

 ロイター通信などによると、ガザ市は人口約100万人の最大都市だったが、2023年10月に戦闘が始まった直後から多くの建物が破壊され、住民の多くが南部などに避難した。だが、間もなくガザ地区全域に戦闘が拡大したことから、数十万人が市内に戻った。

 イスラエル軍は今回のガザ市制圧作戦にあたり、住民に改めて退避を呼びかけているが、これまでに避難したのは7万人程度にとどまっているという。

 中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、ガザ市を中心に戦闘は激しさを増している。ガザ地区では4日、少なくとも75人が死亡したが、このうち44人はガザ市内での死者だった。ガザ市と近郊では飢饉(ききん)も発生しており、壊滅的な人道危機が続いている。

 ガザの保健当局によると、これまでの戦闘によるガザ側の死者は6万4000人を超えた。餓死者も相次いでおり、子供131人を含む370人が栄養失調で死亡した。

 停戦交渉は停滞が続いている。ハマスは8月18日、人質の一部を解放する60日間の一時停戦案を承諾したが、イスラエル側は「人質全員の解放」を要求。ハマスは今月3日の声明で、恒久的な停戦を条件に「全員を解放する用意がある」と述べ、従来の立場を改めて強調したが、本格的な交渉は再開していない。

 一方、イスラエル軍は4日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派に対する8月28日の空爆で、フーシ派政権の「首相」や「外相」ら幹部12人を殺害したと発表した。フーシ派はこの空爆で「多数の閣僚」が死亡したと明らかにしていた。

 フーシ派は8月の空爆で幹部を殺害されて以降、イスラエルや紅海などを航行中の船舶への攻撃を激化させており、今後も報復を続けるとみられる。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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