「イスラエル首相、ガザのジェノサイドを扇動」 国連調査委が報告書

2025/09/17 11:20 

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 国連人権理事会(本部スイス・ジュネーブ)の調査委員会は16日、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区で「ジェノサイド」(大量虐殺)を行ったと認定する報告書を発表した。ネタニヤフ首相らが「扇動」したと指摘した。イスラエル外務省は「偽の報告書」だとして反発している。

 調査委は独立した専門家で構成される。ガザでイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まった2023年10月から25年7月末までを対象に、国連のジェノサイド条約に基づく法的な要件を構成するかどうかを評価した。

 1951年に発効したジェノサイド条約では、特定の民族や宗教集団の一部、または全体を破壊する意図で殺害したり、肉体的・精神的危害を加えたりする行為などをジェノサイドと定義している。

 報告書では、イスラエル軍の攻撃によるパレスチナ人の死者は6万人以上に達し、ガザにおける平均寿命は戦闘開始前の75・5歳から、1年後には40・5歳まで短くなったと指摘した。

 また、戦闘が行われていない状況でも、女性や子どもを含む民間人が直接標的とされ、殺害された事例もあったことを確認した。産科病院や体外受精クリニックの意図的な破壊や、イスラエルの刑務所におけるパレスチナ人への性暴力にも言及した。

 これらを根拠に、ガザにおけるイスラエル軍によるジェノサイドを認定し、ネタニヤフ氏やガラント前国防相らが演説などを通して「扇動」したと結論づけた。報告書はその上で、ジェノサイドを防ぐためのあらゆる措置を講じるよう命じた国際司法裁判所(ICJ)の仮保全措置(暫定措置)を順守するよう、イスラエルに勧告した。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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