遺体返還めぐり応酬、ハマスは武装解除に難色 不安定なガザ停戦

2025/10/18 11:48 

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 パレスチナ自治区ガザ地区の停戦は17日で発効から1週間が過ぎた。イスラム組織ハマスは人質の遺体の引き渡しを終えておらず、イスラエルが反発を強める一方、ハマスも支援物資の搬入が不十分だと批判している。最大の懸案であるハマスの武装解除も見通しが立っておらず、停戦の行方は楽観できない状況が続いている。

 ハマスは17日夜、新たに人質1人の遺体をイスラエル側に引き渡した。停戦発効後に解放した人質は生存者20人と死者10人となったが、まだ18人の遺体がガザに残されている。

 ハマスは16日の声明で「占領軍(イスラエル)が破壊したトンネルや建物のがれきに埋もれており、返還には時間がかかる」と説明。すべての遺体を引き渡し、合意を守る意思があることを改めて強調した。また、イスラエルがエジプトとの境界にあるラファ検問所の閉鎖を続けていると非難し、仲介国に対し、支援物資の搬入拡大を要請した。

 一方、イスラエル軍は17日、南部ハンユニスとラファで部隊に向かってきたハマスの戦闘員を攻撃したと発表。カッツ国防相は17日、軍の撤退ラインに標識を設置するよう指示したと明らかにし、「この線を越えようとすれば武力で対応する」と警告した。ロイター通信によると、ガザでは停戦発効から16日までの7日間で、少なくとも24人がイスラエル軍の攻撃で死亡した。

 こうした中、米ニュースサイト「アクシオス」は17日、米国のウィットコフ中東担当特使が19日にもエジプトとイスラエルを訪問すると報じた。停戦の行方に不透明感が漂う中、ハマスやイスラエルに合意を守るよう圧力をかける狙いがあるとみられる。

 ただ、停戦の「第2段階」となるハマスの武装解除や戦後統治を巡っては、イスラエルとハマスの間に隔たりが残ったままだ。

 ロイター通信は17日、ハマス政治局幹部の話として、ハマスは暫定統治期間中、支援物資の護衛などの「治安維持」に当たる方針だと報じた。この幹部は「武装解除は確約できない」とも語ったという。これに対し、イスラエル首相府は「停戦合意ではハマスは武装解除することになっている。彼らは時間を無駄にしている」と反発した。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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