トランプ氏、ウクライナへのトマホーク供与を見送り 緊張激化を懸念

2025/10/18 13:34 

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 トランプ米大統領は17日、ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領とホワイトハウスで会談した。トランプ氏は公開された会談の冒頭で、焦点となっている米国の巡航ミサイル「トマホーク」の供与に関し、緊張の激化につながるとの懸念を表明した上で「米国も必要だ」とも述べ、改めて慎重な姿勢を示した。会談後にはロシアとウクライナに対して、「現状の境界線」での停戦も呼びかけた。

 米ニュースサイト「アクシオス」によると、トランプ氏は会談で現時点では供与をしない意向を伝達。ゼレンスキー氏は強く供与を求めたが、トランプ氏は反論し、柔軟性を示さなかったという。ゼレンスキー氏は会談後、記者団にトマホークの供与の確約を得られなかったことを示唆し、引き続き供与を求めていく考えを明らかにした。

 両首脳の対面会談は9月下旬以来で、2時間以上続いた。トランプ氏は和平に消極的なプーチン氏に不満を強め、ウクライナの求めに応じてトマホークの供与を検討。ただ、プーチン氏は16日の電話協議でトランプ氏に「両国関係に重大な損害を与える」として供与しないよう求めていた。

 トランプ氏は会談後、自身のソーシャルメディアで「私は、プーチン氏に強く促したのと同様に、ゼレンスキー氏に対しても殺りくをやめ、ディール(合意)を結ぶ時だと伝えた」と説明。「戦争と勇気によって境界線が引かれた。現状のままやめるべきだ。双方に勝利を認めさせ、歴史に判断を委ねよう!」と書き込んだ。

 トランプ氏は記者団に公開された会談の冒頭で、「トマホークは非常に強力だが、とても危険な兵器でもある。多くの悪いことが起きる可能性がある」と述べ、供与への懸念を示した。「我が国を守るために必要なものをあげたくない。トマホークのことを考えずに戦争を終わらせられることを願っている」とも話した。

 また、ハンガリーで予定される米露首脳会談にゼレンスキー氏は参加しないとの見通しを示す一方で、ゼレンスキー氏とも個別に協議するとした。トランプ氏は、ロシアとウクライナの首脳会談の実現を目指してきたが、プーチン氏は消極的な姿勢を崩していない。

 トランプ氏は、かねて指摘されてきた「プーチン氏は戦争を続けるために時間稼ぎをしている」との見方に関し、その可能性を認めた。一方で、「私は人生を通じて、手ごわい人たちに翻弄(ほんろう)されてきたが、うまく切り抜けてきた」と自信もにじませた。さらに、「プーチン氏とは昨日2時間半話をした。多くの詳細にも踏み込んだ」とし、「彼(プーチン氏)は戦争を終わらせたいと思っている」と主張した。

 ゼレンスキー氏は会談で、軍事目標を攻撃する上でドローンとミサイルの連係が重要だとし、「ウクライナは自国製のドローンを何千も保有しているが、トマホークはない」と強調。供与の見返りとして、「米国は我々のドローンを手に入れることができる。その点で我々は協力できる」と語り、トランプ氏も連係に前向きな姿勢を示した。

 また、「我々は平和を望んでいるが、プーチンは違う。だからこそ、圧力をかける必要がある」とも訴えた。【ワシントン松井聡】

毎日新聞

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