領空に侵入した気球、たばこの密輸用? リトアニア「今後は撃墜」

2025/10/28 09:42 

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 バルト3国のリトアニアのルギニエネ首相は27日、隣国ベラルーシからたばこの密輸用とみられる気球が繰り返し領空に侵入していることを受け、対抗措置として国境を閉鎖する意向を示した。今後は気球を撃墜する方針も明らかにした。気球は今月に入ってたびたび飛来し、首都ビリニュスなどの空港が閉鎖される事態となっている。

 リトアニア公共放送LRTによると、今月4日から26日の間に5回、多い時で1回に数十機の気球が飛来し、そのたびにビリニュスなどの空港が一時閉鎖された。今月だけで旅客機約170便、乗客約3万人に影響が出ている。

 気球はいずれもベラルーシブランドのたばこを密輸する業者が欧州に向けて飛ばしたとみられる。リトアニア当局によると、昨年は966機の気球がベラルーシから飛来し、今年も10月初めの時点で500機以上に上っている。ベラルーシは、ウクライナへの侵攻を巡って欧州と対立するロシアの同盟国。リトアニアは気球を阻止しないベラルーシ政府も非難している。

 米政治メディア「ポリティコ」欧州版によると、ルギニエネ氏は27日の記者会見で「我々はいかなる『ハイブリッド攻撃』も容認しないというシグナルをベラルーシに送っている」と述べた。国境閉鎖後は欧州連合(EU)市民の入国と外交官の往来のみ認めるという。

 一方、タス通信によると、ベラルーシ外務省は27日、リトアニアの駐ベラルーシ臨時代理大使を召喚し、「一方的な国境閉鎖」に抗議した。

 東欧諸国では9月以降、ロシアの戦闘機やドローンによる領空侵犯が相次ぎ、リトアニアも今月23日、露軍の戦闘機などが領空を侵犯したと発表した。北大西洋条約機構(NATO)は警戒を強めている。【ロンドン福永方人】

毎日新聞

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