ゼレンスキー大統領の元起業仲間らを家宅捜索 汚職の疑い

2025/11/11 15:35 

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 ウクライナ国家汚職対策局(NABU)は10日、国営エネルギー企業などが絡む大規模な汚職事件の捜査に着手したと発表した。ウクライナメディアによると、ゼレンスキー大統領のコメディアン時代の起業仲間や閣僚が家宅捜索を受けたという。捜査の進展によっては政権への打撃となる可能性がある。

 NABUによると、前エネルギー相でもあるハルシチェンコ司法相の元顧問や、国営原子力企業「エネルゴアトム」の幹部らが、エネルゴアトム社の取引先に対し、業務を発注する見返りとしてキックバックを要求していた疑いがある。

 キックバックで得た金額は総額約1億ドル(約154億円)に上るという。

 ウクライナメディア「ウクラインスカ・プラウダ」によると、この疑惑に関連し、ゼレンスキー氏がコメディアンとして活動していた頃に設立した番組制作会社の共同設立者、ティムール・ミンディッチ氏のほか、ハルシチェンコ氏の自宅が10日、捜索を受けたと関係者が明らかにした。ミンディッチ氏は捜索の数時間前にウクライナを出国したという。

 NABUは「15カ月間にわたる捜査で1000時間分の音声を録音した。高度な犯罪組織の活動が記録された」と捜査の正当性を強調した。ゼレンスキー氏は10日の演説で「汚職に関与した者は訴追されなければならない」と述べた。

 NABUを巡っては7月、権限や独立性を大幅に制限する法律がウクライナ議会で可決され、ゼレンスキー氏も署名した。だが国民の激しい抗議行動を受け、独立性を回復させる新たな法案を可決した経緯がある。【ベルリン五十嵐朋子】

毎日新聞

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