米とウクライナ、和平計画案協議 ルビオ氏、進展強調も「課題多い」

2025/12/01 11:27 

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 米国とウクライナの高官は11月30日、米南部フロリダ州で、米国が主導するロシアとウクライナの和平計画案に関して協議した。今週予定されている米とロシアの協議を前に、詰めの話し合いを行った模様だ。ルビオ米国務長官は協議後に記者団に「生産的な会合だった」と評価しつつ、和平合意に向けては「多くの課題が残っている」とも語った。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、協議は4時間以上行われた。戒厳令下のウクライナで見送りになっている選挙の実施時期や、ウクライナとロシアによる支配地域の交換の可能性が議題となった。また、ウクライナが求めるロシアの再侵攻に備えた「安全の保証」の詳細に関しては、依然として未解決だという。

 ルビオ氏は記者団に「我々は戦争を終わらせるだけでなく、ウクライナが永遠に安全で、さらなる侵略に直面しないように支援したい」と説明。戦争を終結させる条件だけでなく、「ウクライナの長期的な繁栄を築く条件」に関しても議論したとし、「包括的」な取り組みだと強調した。一方で、協議している事柄は「非常に繊細で複雑だ。多くの変動要素がある」とも述べた。

 トランプ米大統領は30日、専用機内で記者団に、協議に関して報告を受けたとした上で、和平合意を実現する「可能性は十分ある」との見方を示した。ただ、ウクライナで広がる汚職疑惑については「ウクライナは複雑な問題を抱えている」と言及し、「それは助けにならない」とも話した。

 協議には、米側からルビオ氏のほか、ロシア寄りの当初の計画案の作成を主導したとされるウィットコフ中東担当特使とトランプ氏の娘婿のクシュナー元大統領上級顧問が出席。ウクライナ側はウメロフ国家安全保障国防会議書記らが参加した。

 ウメロフ氏も協議後、「すべての重要な点を話し合った。米国は非常に協力的だった」とし、協議が「成功」だったとの認識を示した。

 戦争終結に向けて仲介を続けるトランプ政権は11月、ウクライナ側に28項目からなる和平計画案を提示。報道によると、計画案には、ウクライナ東部2州の割譲などが盛り込まれており、極めて「ロシア寄り」の内容だった。懸念を強めたウクライナや欧州は23日にスイスで米側と協議し、ウクライナの主張も盛り込む形で計画案は修正された。

 米CNNによると、ウィットコフ氏は12月1日にモスクワに向かい、現地でプーチン露大統領と和平計画案について会談する見通しだ。クシュナー氏も同席する可能性がある。ただ、ロシア側は既に、ウクライナ側の要求を盛り込んで修正された計画案には否定的な考えを示しており、合意に向けて進展を得られるかは見通せない。【ワシントン松井聡】

毎日新聞

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