台北襲撃 帰宅途中に犠牲の57歳、被害拡大防いだ行動

2025/12/23 05:30 

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 19日に台湾・台北中心部で14人が死傷した無差別襲撃事件で、犠牲になった男性(57)が身を張って被害拡大を防いでいたことが明らかになり、地元では市民の追悼が続いている。

 警察によると、容疑者(27)は午後5時25分ごろ、地下鉄台北駅の構内で煙幕弾17発と自作の火炎瓶3本を投げた。容疑者のタブレット端末から見つかった計画では、混乱に乗じて通行人を刃物で襲撃する狙いだったとされる。

 勤務先から帰宅中だった男性は容疑者を発見して止めようとしたが、胸を刃物で刺された。その過程で容疑者がキャリーケースで運んでいた火炎瓶数本が壊れ、容疑者は計画変更を余儀なくされたとみられる。事件ではこの男性を含む3人が亡くなった。

 地下鉄運営会社幹部は「男性の行為がさらなる被害を防いだ」と謝意を表明した。台湾の内政部長(内相に相当)は男性をたたえつつ「危険な場面では自分の安全を守ることを優先してほしい」と呼びかけた。男性側には少なくとも補償金500万台湾ドル(約2500万円)が支給される見通しだ。

 現場には事件3日後の22日も多くの市民が献花に訪れており、女性(27)は「男性の存在が皆の記憶に残り続けてほしい」と話した。【台北・林哲平】

毎日新聞

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