被害者の首おさえ助けを… 台北襲撃、現場に居合わせた日本人の証言

2025/12/23 05:31 

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 19日に台湾・台北中心部で14人が死傷した無差別襲撃事件で、2人が死亡した中山駅近くでは、観光中の日本人が事件を目撃していた。

 百貨店で買い物を終えたばかりのジャーナリストの木下黄太さん(58)は1階で異変に気がついた。白い煙と女性らの叫び声。周囲を見ると、刃物を振り回す容疑者がいたという。

 危険を感じて外に逃げ出すと、男性2人の姿が見えた。最初は「共犯者かもしれない」と身構えたが、バイクにまたがっていた1人がバタリと倒れ込んだ。服は真っ赤で、実際には被害者だった。

 木下さんは血が噴き出す男性の首元を素手でおさえながら、「早く止血して。誰か医療関係者はいないか」と大声で叫んだ。容疑者が戻ってくるかもしれないと恐怖を感じながらの手当ては、10分近く続いたという。

 男性は手当てを受けながらスマートフォンで誰かと話し続けたが次第に力がなくなり、その後病院で死亡が確認された。安全管理の業務を担う37歳で仕事に向かう途中だった。木下さんは「途中で意識がなくなっているのはわかったが、何もできなかった」と唇をかんだ。【台北・林哲平】

毎日新聞

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