「赤ちゃんポスト」設置先の医療センター、態勢強化へ 大阪・泉佐野

2025/12/23 14:15 

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 親が育てられない乳児を匿名で受け入れる「赤ちゃんポスト」設置の準備を進める大阪府泉佐野市の千代松大耕市長は22日記者会見し、設置先の「りんくう総合医療センター」(同市)の態勢を強化するため、スタッフ増員の人件費負担や市職員の出向などの支援策を講じる方針を明らかにした。

 会見に同席した同センターの松岡哲也院長は、看護師のほか、出産前後の母親からの相談業務、事務作業に対応するスタッフの増員が必要として「今の医療に支障が出ないように進めるには大きな課題がある」と話した。千代松市長は「ハード面の整備も含めて必要な費用は市の予算に計上する」と述べ、内密出産の女性の個人情報については、匿名性を担保する観点から「行政の人間が病院に出向し、院内で管理することが望ましい」との考えを示した。

 赤ちゃんは退院すると、児童相談所に一時保護された後、里親や乳児院などで育てられ、長期間の支援が不可欠になる。松岡院長は「医療以外は行政や福祉に頼ることになる」と指摘し、千代松市長は「府と連携して進め、できる限りの負担をしていく」と語った。

 市と同センターは今後、医療関係者や弁護士で構成するワーキンググループで検討を進める。千代松市長は赤ちゃんポストを設置する熊本市の慈恵病院を2026年2月に視察して課題を探り、国に対して内密出産の法整備を要望する方針。

 市は「赤ちゃんのゆりかご」の名称で26年度中の運用開始を目指している。行政主導での設置は全国で初めて。【中村宰和】

毎日新聞

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