「ウクライナ選手ら600人犠牲」 担当相、冬季五輪を前に窮状訴え

2026/01/30 07:00 

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 2月6日に開幕するミラノ・コルティナ冬季オリンピックを前に、ロシアの侵攻を受けるウクライナのマトビー・ビドニー青年スポーツ相が毎日新聞のインタビューに応じた。2022年2月の全面侵攻開始からの約4年間で同国のスポーツ選手とコーチ計600人以上が命を落としたと明らかにし、「平和の祭典」である五輪が「世界にとってウクライナの窮状に改めて目を向け、平和をどう構築するか考える機会になってほしい」と訴えた。

 インタビューはオンラインで実施した。ウクライナからはスキーやスケート競技を中心に40~50人が出場する見込みだ。

 ビドニー氏によると、戦争で国内のスポーツ施設も800カ所以上が破壊され、志願兵として戦場に行った選手は3000人以上に上るという。「戦地にいなくても、夜間の砲撃や空襲警報で睡眠不足になるほか、家族や友人が前線にいることへの不安から競技に集中しづらい」とアスリートの苦境を説明する。

 一方で、「国家の存続が問われる困難な状況の中、全ての選手がウクライナの代表であることに名誉と責任を感じている」と士気の高さも強調した。

 ロシアとその同盟国ベラルーシの選手について、国際オリンピック委員会(IOC)は24年のパリ夏季五輪と同様に、「個人の中立選手」(AIN)としての参加は認めた。軍や国家安全保障機関と契約関係になく、ウクライナ侵攻も積極的に支持していないことを「中立」の条件とした。

 だが、ウクライナ側は反発している。ビドニー氏は「ロシアでは政府や軍の今の行動(侵攻)を支持しないことが明らかになれば、刑務所に送られるはずだ。本当の意味で『中立』の選手など存在しない」と主張する。

 ロシアによる全面侵攻は前回の北京冬季五輪が閉幕した直後に始まった。いまだ停戦には至らず、ウクライナでは物心両面で荒廃が進む。「そんな状況でも私たちは国として存続し、今回も五輪・パラリンピックに代表チームを送る。強い精神力も世界に示したい」。ビドニー氏は力を込めた。【ロンドン福永方人】

毎日新聞

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