パウエル氏、にじむトランプ政権への抵抗 FRB独立の重要性を強調

2026/01/29 20:01 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 米連邦準備制度理事会(FRB)が4会合ぶりの金利据え置きを決めた。トランプ米政権からの利下げ圧力が強まるなか、パウエル議長は利下げを当面見送る可能性を示唆。中央銀行として政治から独立した立ち位置を堅持し、政権に抵抗する意思をにじませた。

 「私はFRBの独立性に強くコミットしている(責任を持っている)」。28日の会合後の記者会見で、パウエル氏はFRBが政治からの独立を維持できているか問われ、即答した。

 パウエル氏は11日、約2分間のビデオ声明を公開。FRB本部ビルの改修工事を巡り、自身が刑事捜査の対象になったと明らかにした。昨年6月の上院銀行委員会で虚偽の証言をした疑いがかけられているとされるが、パウエル氏は動画内で「口実にすぎない」と否定し、本質はFRBへの政治的圧力だと批判した。

 利下げは一般的に景気を押し上げる。トランプ氏は大規模利下げで経済を一気に上向かせようとしたが、FRBが思い通りに利下げに踏み切らないとして、しばしば不満をぶちまけた。

 特に自ら議長に指名したパウエル氏を「無能だ」などと糾弾。それでも沈黙を貫いてきたパウエル氏だったが、現職のFRB議長への捜査で中央銀行の独立性が本格的に危ぶまれる事態となり、異例のビデオ声明で反転攻勢に出た形だ。

 会見では、ビデオ声明の真意などを問う質問が相次いだが、パウエル氏は具体的な補足説明を避けた。

 ただ、政治からの独立に質問が及ぶと、パウエル氏は「独立性は国民に利益をもたらす仕組みだ」と意義を強調。為政者が中央銀行を牛耳れば、目先の利益のために利下げが強行され、かえってインフレを招く恐れがあるとして、中央銀行の独立は「先進的な民主主義国家共通の優れた慣行だ」と力説した。中央銀行が一度信認を失うと「回復は困難」とも語り「信認を失わないことを強く願う」と訴えた。

 トランプ氏の標的はパウエル氏だけではない。クック理事には解任を通告し、クック氏はこれを違法として提訴。21日にあった連邦最高裁の口頭弁論をパウエル氏が傍聴すると、今度はベッセント財務長官が「政治的な意思表示」と批判する泥仕合となっている。

 パウエル氏はクック氏の訴訟を「FRBの113年の歴史で最も重要な訴訟だ」と評する。1980年代にボルカー元議長が最高裁に出席した事例を引いて「出席しない理由を説明するのは難しい」と主張。政治的圧力と法廷で闘う同僚への連帯を示した。

 パウエル氏は5月に議長の任期を終える。会見で後継者への助言を問われると、真っ先に「政治に関わらないことだ。巻き込まれないで」と答えた。【ワシントン浅川大樹】

毎日新聞

国際

国際一覧>

写真ニュース