米ロスの杉原千畝像、赤い塗料で汚損 ヘイトクライムの可能性も

2026/02/25 17:52 

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 米ロサンゼルス中心部の日本人街・リトルトーキョーで今月、第二次大戦中に多くのユダヤ人難民に日本通過ビザを発給した日本の外交官、杉原千畝の銅像が塗料で汚された。背景は不明だが、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃で反ユダヤ感情が高まる中、ユダヤ人を救った杉原の像が憎悪犯罪(ヘイトクライム)の対象になった可能性が指摘されている。

 リトルトーキョー歴史協会のマイケル・オカムラ会長によると、杉原像の汚損が確認されたのは2月7日午後(現地時間)。頭部全体に赤い塗料が吹き付けられていた。6日から7日にかけて汚されたとみられる。これまでもいたずら書きされるなどのケースはあったが、今回ほどの被害は初めてという。

 像は通報を受けた市当局や米ユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」のエイブラハム・クーパー副所長らが清掃し、19日には元の姿に戻った。

 ロサンゼルスの杉原像は、駐リトアニア領事代理時代に独自の判断で多くのユダヤ人難民にビザを出した杉原の功績をたたえるため、地元のユダヤ系市民らによって2002年に建立された。今回の被害について在ロサンゼルス日本総領事館は「さまざまなルートを通じて状況を把握している。引き続き状況を注視していく」とコメントした。

 千畝の孫でNPO法人「杉原千畝命のビザ」理事長の杉原まどかさんは「米国に住む友人から知らせを聞き、深く胸を痛めています。しかし、これを単なる破壊行為にとどまらせず、祖父が生涯で体現した『人道』と『勇気』の精神を思い起こす機会であればと願っています。命を救われた多くの難民たちにとって米国は自由、平和、そして寛容の“希望の国”でした。米国が今も正義と良心を備えた偉大な国であることを心から信じています」と話している。【田中洋之】

 ◇杉原千畝

 1900年岐阜県生まれ。39年に在リトアニア・カウナス日本領事館の領事代理。ナチス・ドイツとソ連の侵攻を受けたポーランドから流入したユダヤ人難民らに40年、政府方針に反する形で日本通過ビザを発給した。外務省外交史料館に保管されているビザ発給リストの件数は2140。イスラエルの国立ホロコースト追悼センター「ヤド・バシェム」は84年、ユダヤ人を救った外国人に贈る「諸国民の中の正義の人」の称号を杉原に授与した。

毎日新聞

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