世界を揺るがすホルムズ海峡「封鎖」 イランはどんな方法を使うのか

2026/03/15 18:00 

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 米国、イスラエルによる攻撃を2週間以上受ける中、イランは海運の要衝であるホルムズ海峡「封鎖」で対抗している。世界経済を動揺させ、米イスラエルに国内外から「停戦」圧力がかかる展開を狙っている。最も幅が狭い部分の幅は約34キロ、タンカーの航路幅は約6キロしかないが、それでも広大な海路を「封鎖」するのは可能なのか。

 ◇「機雷」とは?

 イランが海峡封鎖のために使える手段は多岐にわたる。

 まず「水中の地雷」とも言える「機雷」だ。爆薬が入った容器を海底や海中、海面付近に設置したもので、船が近づいたり接触したりすると爆発し、船を損傷、沈没させる兵器だ。

 ①海底のおもりにワイヤでつなげて浮遊させ、船との接触で爆発する「係維機雷」②海底に敷設され、磁気や音響、水圧に反応する「沈底機雷」③海底近くに敷設され、標的の艦船を磁気などで探知すると上昇して攻撃する「短係止機雷」などがある。機雷が敷設されると、タンカーや軍用艦の航行リスクは高まり、容易に通航できなくなる。

 ただ、機雷は水上艇や航空機から投下する必要がある。米国やイスラエルの軍用機や艦艇が警戒する中、敷設する作業にも危険が伴う。小型艇で接近して、船体に機雷を吸着させてから起爆させる「リムペット機雷」もあるが、米イスラエルが航空戦で優位に立つ状況では、イラン側にリスクも大きい。

 ◇ドローンも有効に

 古くからある機雷と異なり、水上無人艇や無人航空機(ドローン)なども「封鎖」の手段になり得る。爆発物を搭載し、標的の艦船に接近して「自爆」する方法だ。

 水上無人艇は、ロシアの侵攻を受けるウクライナ軍が、露海軍の艦艇を攻撃するために活用した例がある。また、イエメンの親イラン武装組織フーシ派は2023年、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区侵攻に反発し、イエメン付近を航行する船を無人航空機などで攻撃するようになった。このため、欧州-アジア間を航行する船舶が、紅海やスエズ運河を抜ける航路を避けて、アフリカ大陸の南端を大回りすることが常態化している。

 イランはロシアに無人航空機を供与するなど、その技術を進化させてきた。ドローンは小規模な部隊がゲリラ的に運用することも可能で、米イスラエルの警戒の目を避けるのにも適している。ミサイルよりも安価で大量に運用できるのも、イランにとっては利点だ。

 一方、実際に軍事力を行使しなくても、既に海峡封鎖の「アナウンス効果」は発揮されている。通航する船舶にとっては、機雷やドローンを探知するのは極めて困難であり、「もし攻撃があったら」と想定させることで、運航に二の足を踏ませることになる。

 ◇紅海より深刻な危機に

 トランプ米大統領はホルムズ海峡での航行を続けるよう呼びかけ、有志国による民間船舶の護衛計画も浮上している。しかし、護衛する軍用艦のリスクも大きく、実際に護衛が実行されるかどうかは不透明だ。

 米国は23年に紅海でフーシ派による商船攻撃が活発化した際も、有志国を募り、船舶の護衛に乗り出した経緯がある。だが、米軍の艦艇もフーシ派の標的になり、一度減った民間船舶の通航量はあまり戻らなかった。

 米国政府は、フーシ派が保有するミサイルや無人航空機の多くはイランが提供したとみている。イランが見返りとして艦艇への攻撃のノウハウを吸い上げている可能性は高く、今回の「ホルムズ海峡危機」は紅海の状況よりもさらに深刻だと言える。【秋山信一】

毎日新聞

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