ミャンマー大統領に軍政トップ 「民政復帰」掲げるも軍支配継続
ミャンマー連邦議会は3日、ミンアウンフライン前国軍最高司令官(69)を大統領に選出した。同氏は2021年のクーデターで実権を握り、4日前に退任したばかり。新政権は5年に及んだ軍事政権の延長で、軍による支配体制の正当化を狙う。
上下両院と軍人枠の議員が選んだ3人の候補者の中から、全議員の投票でミンアウンフライン氏が選ばれた。軍の影響力が強い議会構成を背景に、同氏の大統領就任は確実視されていた。4月上旬にも新政権が発足する見通し。
1月までに実施された総選挙では、国軍系の「連邦団結発展党(USDP)」が過半数を確保。軍人枠と合わせ、軍に近い議員が上下両院の9割近くを占める。民主化指導者アウンサンスーチー氏率いる「国民民主連盟(NLD)」は排除されるなど、公平性を欠く選挙だった。戦闘地域では投票が見送られた。
国軍は当初から、選挙を通じて軍寄りの政権を誕生させ、クーデターの既成事実化を図る構想を描いていた。市民の抵抗や内戦の激化で工程は大きく遅れたが、新政権発足はその構想を形にしたといえる。
ミンアウンフライン氏は中部マグウェ管区出身。軍内で昇進を重ね、最高司令官を11年3月から15年間務めた後、3月30日に退任した。後任には側近のイエウィンウー陸軍司令官を据えた。大統領就任後も軍を掌握するための布石とされる。
ミャンマーでは11年の民政移管を経て、16年に事実上のスーチー政権が誕生したが、憲法改正などを巡り、軍の影響力をそぐ動きに国軍が反発。NLDが圧勝した20年総選挙の結果を国軍は受け入れず、21年2月にクーデターを決行した。スーチー氏は拘束され、民主派や少数民族の武装勢力との戦闘が泥沼化している。
日本政府は暴力の即時停止やスーチー氏らの解放などを求めてきたが、軍事政権は応じていない。軍政は西側諸国との関係が途絶え、中国やロシアへの依存を強めてきた。「民政復帰」を国内外にアピールし、国際社会との関与拡大や外国投資の回復につなげようとしている。【小泉大士】
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