要人の国外訪問見送りも… インド、燃料高騰で「節約」本格化

2026/05/16 18:58 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 イラン情勢の緊迫化でエネルギー価格が高騰する中、インドで燃料節約の取り組みが本格化している。モディ首相が国民に大規模な自粛を呼びかけたのがきっかけで、15日には国営石油販売会社がガソリン価格などの値上げを発表した。国民生活への負担が予想される一方、当局は独自の削減策をアピールしている。

 モディ氏は今月10日の演説で「世界的危機の中で燃料の使用を減らすことが必要だ」と述べ、国民に対し在宅勤務の実施や、不急の国外旅行を控えるよう呼びかけた。

 インドでは結婚式の際、新婦に金を贈る習慣があるが、モディ氏は「輸入品の使用を減らし、外貨を費やす行動は避けるべきだ」と語り、輸入に頼っている金の購入についても1年間の自粛を要請。その直後には金の関税が従来の2倍超の15%に引き上げられた。

 モディ氏の演説を受け、各地の州政府などは燃料の削減案を発表。デリー首都圏政府のグプタ首相は14日、職員の週2日の在宅勤務を採用するとし、今後1年間、閣僚や職員の公式の国外訪問は行わないと宣言した。市民に対しては週1日の「ノーカーデー」(車を使わない日)を設けるよう呼びかけている。西部グジャラート州では副首相らが予定されていた米国訪問を取りやめた。

 モディ氏自身も「節約」をアピールしている模様だ。ロイター通信は政府筋の話として、警護の車列の規模を従来の十数台から「大幅に縮小した」と報じた。SNS上では、大規模な自粛要請や政府要人の車列を疑問視する声が出ており、批判をかわす狙いがあるとみられる。

 こうした中、事業者らからは困惑の声も上がっている。首都ニューデリーにある宝飾業者協会の幹部は「業界全体にとって重大な危機だ。政府の要請に協力する用意はあるが、長引けば持ちこたえられないかもしれない」。大手フードデリバリーの配達員の男性(42)は、ガソリン価格の上昇について「値上げ幅はわずかで配達への影響は少ないが、物価全般の上昇につながり、注文数は減るだろう。中東の危機以降、すでにその兆候は出始めている」と指摘した。【ニューデリー松本紫帆】

毎日新聞

国際

国際一覧>