石破首相、元日に「大連立」発言も否定的な見解 合意形成を強調
石破茂首相(自民党総裁)は6日、年頭の記者会見を三重県伊勢市で開いた。第2党の立憲民主党を含む「大連立」など野党との連立の可能性について、「今の時点で連立を考えているわけではないし、大連立を考えているわけでもない」と述べ、否定的な見解を示した。1日放送のラジオ番組では「大連立をする選択肢はあるだろう」と言及していたが、「可能性はあると言ったのであって、何のためにということが明らかにならなければ、意味のないことだ」と述べた。
首相は先月28日のテレビ番組で、夏の参院選に合わせた「衆参同日選」についても「参院と衆院の時期が同じであったとしても、同時にやってはいけないという決まりはない」と否定しなかった。しかし、6日の会見ではこの発言についても、内閣不信任決議案が可決された場合を念頭に「衆院の意思と内閣の考えが違った時に主権者(国民)の判断をいただくのは憲政の常道で、それを言ったに過ぎない」と述べるにとどめた。
「少数与党」として臨む通常国会については「我々がどうしてこのように考えるのかを誠心誠意、説明していく。野党やそれを支持された方々、無党派の方々にご理解いただけるように最大限の努力を図っていくしかない」と述べ、野党との合意形成に全力を挙げる考えを強調した。
具体的には、選挙制度▽年金▽企業・団体献金――の3点をめぐる与野党協議に期待感を示した。現行の衆院小選挙区比例代表並立制については「約30年の現行制度の歴史を踏まえ、改めて党派を超えた検証が必要だ」と表明。年金制度改革に対しては「各党による建設的な議論が行われることを切に期待している」、立憲など野党が求める企業・団体献金禁止法案に関しては「年度末に向けて真摯(しんし)に議論し、成案が得られるよう努めていく」と述べた。
首相は会見の冒頭、「戦後80年の節目の年だ。平和国家日本のあり方について国民と考える年にしたい」と表明。看板政策に掲げる地方創生については「令和の日本列島改造と位置付ける」と強調し、「政府機関の地方移転を強力に推進する」と述べた。都市と地方の2拠点で人々が生活・活動しやすくなる支援策に取り組む方針も示した。
バイデン米大統領が日本製鉄によるUSスチール買収の中止を命じたことについては「日本の産業界から今後の日米間の投資について懸念の声が上がっているのは事実で、重く受け止めざるを得ない」としたうえで、「懸念払拭(ふっしょく)に向けた対応を米政府には強く求めたい」と述べた。首相は会見に先立ち、伊勢神宮を参拝した。【安部志帆子】
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