赤沢氏、5回目の関税協議のため渡米 交渉大詰め、石破首相訪米案も

2025/06/05 10:41 

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 トランプ米政権の関税引き上げを巡る米側との閣僚協議のため、赤沢亮正経済再生担当相は5日、米ワシントンに向けて出発した。ベッセント米財務長官らと会談する予定で、閣僚協議は5回目となる。日本政府は、今月中旬にカナダで開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせた首脳間合意を目指しており、交渉は大詰めを迎えている。

 羽田空港で記者団の取材に応じた赤沢氏は「引き続き米国の一連の関税措置について見直しを求めるということを強く申し入れる」と語った。

 4月16日から始まった閣僚協議はハイペースで開かれ、赤沢氏の訪米は3週連続となる。前回の閣僚協議後、赤沢氏は「合意に向けた議論が進展していることを確認した」と述べる一方で、交渉内容への具体的な言及は避けた。日本側が重視する25%の自動車分野の関税見直しなどには米国側は難色を示しているとみられ、日本政府関係者は「自動車関税の引き下げの確約は取れていない」と明かす。

 日米は貿易の拡大や非関税措置、経済安全保障面の協力の3分野で議論を続けており、日本側は対米投資の増加や造船分野での日米協力、防衛装備品の購入などを交渉カードとしている。半導体やレアアース(希土類)などの経済安保での協力も打診するなどし、自動車の関税措置の見直しを求めてきた。

 石破茂政権は15~17日にカナダで開かれるG7サミットに合わせた日米首脳合意を目指している。サミットは目前に迫っており、今回の閣僚協議が首脳会談の合意につなげられるかが重要になる。ただ、「今回でまとまるかは訪米してみないと分からない」(交渉筋)と交渉妥結は見通せない。政府関係者によると、首相は、G7サミット前に訪米しトランプ米大統領と首脳会談を行うことにも意欲を示しており、今回の赤沢氏の訪米結果を踏まえて判断する模様だ。

 首相はG7サミット後、24~25日にオランダで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議への出席も予定している。トランプ氏も出席予定で、ここでも日米首脳会談を開く案がある。政府高官は「2段階での合意もあり得る」として、短期間で首脳会談を重ねることで交渉の合意を目指す可能性もあると指摘する。

 相互関税の上乗せ分の猶予期限は7月9日に迫る。日本政府内には「不利な内容で妥協して合意する必要はない。交渉は急いでしまえば負けだ」(経済官庁幹部)として首脳会談での安易な合意には慎重論もある。【高田奈実、田所柳子、古川宗】

毎日新聞

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