小泉農相、農業に企業参入呼び掛け 高齢化、耕作放棄地の増加を懸念

2025/06/18 12:21 

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 小泉進次郎農相は18日、農業で働く人が高齢化し、将来の担い手が不足する問題を解決するため、企業の農業参入を積極的に呼び掛ける方針を明らかにした。農業界や地域によっては参入への警戒感が根強いとされる「株式会社悪玉論」にも言及。「農業に企業が入るのはけしからん、こういったことに固執しすぎて、じゃあ誰も入れないんですか」と問題提起した。

 18日の民放番組で小泉氏が持論を述べた。農水省が4月に発表した地域農業の未来像をまとめた「地域計画」によると、今年3月末時点で、計画区域の農地(424万ヘクタール)のうち、10年後に耕作者がいなくなる農地は3割超(139万ヘクタール)になることが示された。

 今月4日に農水省が発表した地域計画の分析結果によると、耕作規模の縮小や高齢化などで、さらに将来利用されない恐れがある農地もあることが判明。その結果、耕作者不在の農地は全国の農地で最大約6割になる可能性も出ている。

 小泉氏は番組で5~10年後、全国で生産者不足に陥る見通しに触れ、「誰もいないところは耕作放棄地にするのか」と指摘。「日本の農業を守るためには、新たなプレーヤーが参入できる環境を作りたい」と強調した。

 ただ農業の働き方が不透明な課題も挙げ、改善されなければ「新しい人がどう考えたって(福利厚生が整った)大手企業の方に行く」とも説明。労務管理や福利厚生が整った企業が農業に参入すれば、若者が他の産業と比較して選びやすくなるとの考えも示し、「社員のような形でも働けるというボリュームゾーンを少し増やしていかないと、(農業の)なり手がいない」と危機感を見せた。【中津川甫】

毎日新聞

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