選択的夫婦別姓と同性婚 賛成候補をカメラで判別 サービス提供へ

2025/07/08 08:15 

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 参院選の選挙区の候補者ポスターにスマートフォンをかざすだけで、選択的夫婦別姓と同性婚の法制化に賛成している候補者が分かるAR(拡張現実)カメラ「MARRIAGE VISION」(マリッジビジョン)を、公益社団法人「マリッジフォーオールジャパン」(略称マリフォー、東京都港区)と一般社団法人「あすには」(東京都新宿区)が共同開発した。両者が運営し、10日から無料でサービスを提供する。

 全国の各選挙区の候補者全員について、選挙ポスターの画像と、東京大の谷口(将紀教授)研究室と朝日新聞社の共同調査によるアンケート結果とを結びつけ、選択的夫婦別姓と同性婚のそれぞれについて、法制化に賛成している候補者にはスマホの画面で花が咲いて字幕が表示される。カメラは二次元コードやウェブ検索で使用できる。

 サービス開始を前に7日、京都市上京区の同志社大で、両団体の代表と岡野八代・同志社大大学院教授のトークイベントと、デモンストレーション用の架空のポスターを使った先行体験会が開かれた。

 同性婚の法制化を目指すマリフォー共同代表で、同性カップルの訴訟代理人も務める三輪晃義弁護士は「同性カップルが結婚しても誰も困らない。国も同性カップルを婚姻から排除する合理的な理由を見いだせていない。選択肢が少しでも広がる社会を実現したい。今回の選挙はその一歩になる」と指摘した。

 選択的夫婦別姓の実現とジェンダー平等を推進する「あすには」代表理事の井田奈穂さんは「私たちが訴えているのはイデオロギーではなく、(結婚で改姓することによる)生活上の困りごとの解消と平等原則の担保。選択的夫婦別姓や同性婚は人権を守る指標だと思う。一人一人の生活の尊厳、選択肢をどう守るのか、人権意識のある候補を見極めるために、判断材料の一つとしてマリッジビジョンをぜひ活用していただきたい」と訴えた。

 岡野教授も参加した学生たちに向け、「学費の高さとか、若い人の今の生活の苦しさも政治が決めている。ぜひ選挙に関心を持っていただきたい」と呼びかけた。

 マリッジビジョンを体験使用した同大グローバル地域文化学部の岩間菜々穂さん(21)は「ポスターを見ただけでは候補者の情報は分からないが、スマホをかざすだけでカラフルに見え、面白いし便利。より多くの人に使ってほしい」と話した。【太田裕之】

毎日新聞

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