外務省、海外リスク多様化で「海外邦人緊急事態課」新設 即応目指し

2025/07/07 18:48 

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 外務省は、海外で戦争や自然災害など緊急事態に巻き込まれた日本人の保護に即応するため、「海外邦人緊急事態課」を8月1日付で新設する。これまではテロ・誘拐と、紛争・政変・自然災害を別の部署で扱っていたが、海外でのリスクが多様化していることから統合し、必要な場合は迅速に邦人の退避支援のための人員を東京から現地に派遣するなど緊急時の対応を強化する。

 6月にはイランとイスラエルの交戦激化で両国に住む日本人の退避希望が急増した。同省は両国にバスを計5回派遣。大使館員らが同行して国際機関の外国人職員を含む計128人を陸路で隣国に退避させた。両国には退避中の攻撃を控えるよう求めたが、実際は近くでミサイル攻撃が起きるなど緊急のオペレーションになった。これまで陸路での退避として最多だった2010年のハイチ地震での10人を大きく上回ったほか、初めての2カ国同時退避となった。新設する課ではこうした邦人保護への即応を目指す。

 一方、邦人の海外渡航時の犯罪被害への注意喚起や孤独・孤立対策など、個別の悩みに寄り添った支援については、新設する「海外邦人安全支援室」で対応する。また、近年は米欧とレアアース(希土類)の供給網などで連携を強化していることから、経済安全保障政策室を経済安全保障課に格上げし、経済外交も推進する。【田所柳子】

毎日新聞

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