現金給付案は撤回か 総裁選候補者は消極的…5人が掲げる代案は?
7月の参院選で与党が公約に掲げた一律の現金給付案は、今後は撤回となりそうだ。22日告示の自民党総裁選は、候補者5人(小泉進次郎農相、高市早苗前経済安全保障担当相、茂木敏充前幹事長、小林鷹之元経済安保担当相、林芳正官房長官)が出そろったが、いずれも20日までに給付に消極的な姿勢を表明した。なぜ給付案は消え、代わりにどんな政策を主張しているのか。
◇国民の賛同広がらず
「残念ながら国民の賛同を得られなかった。自民党として実行したくても、現実問題として実現はなかなか難しい」。小泉氏は20日の総裁選の出馬記者会見で給付について問われ、淡々と語った。
自民、公明両党は参院選の物価高対策として全国民に一律2万円を給付し、子どもや低所得の大人には2万円を上乗せするとの公約を掲げた。予算規模3兆円台半ばを見込む目玉政策だったが、減税を主張する野党が躍進した。
小泉氏は5月に「賃上げの恩恵が届かない年金生活者など低所得者に対しては現金給付をすべきだ」と発言していた。しかしその後、参院選の大敗や給付案に対する野党の反対などを踏まえ、実施は困難だと判断した。
◇ガソリン暫定税率廃止や交付金が代案に
給付に代わる物価高対策として小泉氏が掲げたのは、与野党で協議しているガソリン税の暫定税率の速やかな廃止だ。所得税がかかり始める「年収の壁」については、物価や賃金の上昇を踏まえて控除額を引き上げることで対応するとした。
現金給付案は、高市氏も「国民の支持は得られなかった政策」として否定した。物価高対策では、ガソリン暫定税率の廃止や自治体への重点支援交付金の拡充で対応するとしている。
参院選前に主張していた、食料品を対象に消費税の軽減税率を0%に引き下げる案については「即効性はないと思った」として、公約には盛り込まなかった。
茂木氏も現金給付を実施しない考え。経済対策としては、地方自治体が必要に応じて活用できる数兆円規模の「生活支援特別地方交付金」の創設を掲げた。
交付金を通じた策は、単なるバラマキにならずに各自治体が事情に応じた使い道を選べるほか、減税策より実施のハードルが低い利点もあるとされる。
◇「定率減税」策も
小林氏は給付案には言及せず、若者や働く世代を応援するため、「定率減税」を時限的に実施するとした。ただ、定率減税は所得税額から一定割合を差し引くため、所得がない高齢者や所得の低い人への恩恵は少ないといえる。
小林氏は低所得者向けの支援策として、電気・ガスの料金補助や重点支援交付金の倍増案などを示すが、ある経済官庁幹部は「(定率減税案では)今の物価高で本当に困っている人を救えない」と心配する。
給付策を打ち出した石破茂政権中枢の林氏も、現時点では給付に消極的な姿勢だ。18日夜のインターネット番組では「(給付案について)私だったらやらなかったかもしれない」と振り返った。
物価高対策は「(参院選で掲げた)公約がベース」としたものの、選挙結果や野党の意向などを踏まえ「臨機応変に対応していかなければならない」との立場を示している。
◇政策実現は野党支持も不可欠に
10月4日に選出される新総裁が首相に指名されれば、年内に物価高などへの経済対策の裏付けとなる補正予算の成立を目指すことになる。ただ、衆参過半数割れの与党が政策を実現するには野党との調整が必須だ。給付案を取り下げて掲げる各種の対策も、野党の賛同を得られなければ進めることはできない。
総裁選での物価高対策を巡る論戦は、市場も注視している。大規模な経済対策への期待感から株価は上昇基調が続いているが、財政拡張への懸念が強まれば為替市場は円売り(円安)、債券市場では国債売り(金利上昇)が進む可能性がある。【加藤結花】
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